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Ryoga side .
土曜日。
Aを迎えに行き、海と駅で待ち合わせて、隣町の高校へ向かった。
春の文化祭が珍しいからか、たくさんの人で賑わっていた。
できれば休みの日は、家でゆっくりしていたいけど、今の俺にそんな余裕はない。
さっきから、男に勧誘のチラシを配られても、下心には一切気づかず、嬉しそうに受け取っている。
自然であの振る舞いだから怖いよな。
みんなを虜にさせてしまう。
どこいこう、なに食べようって、海と楽しそうにしている。
...海なら、いいか。
ほかの男に捕まらないように見張っていると、何かを見つけ走り出した。
子どもかよ(笑)
「拓弥くん!」
Aが呼ぶ先にいたのは、制服にエプロンを付けた男の子だった。
拓『A!来てくれて、ありがとう』
「うん!思ったより、賑わってて楽しそうだね〜」
拓『去年もこんな感じだったかな』
「そうなの?」
楽しそうに話す二人の会話を聞いていると、俺と海に気付いて、
拓『友達?』
「あ、二人は二年生で先輩だよ!海くんと稜雅くん。」
軽く会釈をすると、拓弥という男も会釈をして、じーっと俺の首元を見る。
拓『...そのマフラーって』
『え、これ?』
いつもみたいに、Aから貰ったマフラーを付けてきた。
拓『Aの彼氏ですか?』
俺を見る目が明らかに変わった。
『そうだけど』
そんな敵視されちゃ、誰でも分かんだろ。
Aの手を取ってぎゅっと握る。
「稜雅くん?」
うろちょろしてると、誰に取られるかわからない。
拓『...じゃ、俺そろそろ戻るわ。また後で、俺のクラスも来てね』
「うん!ありがとう〜!」
海と俺に軽くお辞儀をして、戻って行った。
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この時から、嫌な予感がしてた。
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作者名:ガリガリヤンキー | 作成日時:2019年4月13日 0時