【コラボ】傷を癒すために【歌い手】 (ページ10)

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じゃあね～男主視点～ページ10

「あと10分かー」

『暇だな』

「おう」

空港で飛行機を待つ時間が長く感じた
ナノは全部言ったよな
余計なことまで言ってないよな

「アメリカへ留学って時期があれじゃね？」

『少しずらしてもらったんだよ
本当は高校からアメリカへ行くつもりだったの』

「お兄さんは？」

『こっちにいる』

「お前だけ？なんで」

『なんでって知らねぇよ
断ったんじゃねぇの？それにアメリカだし』

「ああ…なるほど」

そんな会話をして残り5分
ついに日本にもさよならだ
アメリカに行くことはナノにしか言ってない
そらる先輩にくらい言っとけばよかったかなーなんて思ったりしたが言わなかった
ひと里先輩はちょっとだけ言ったがアメリカに留学とまでは言わなかった
先生には言っといたけど

「うし、もう行くか」

腕時計を見ると3分前
そろそろか

「空！」

立とうとしたら名前を呼ぶ声が聞こえた

「だ、誰？あの美人」
『うるせぇな！ｗｗ』

ろん先輩って美人か？

「アメリカ行くって聞いて、走って、来た、んだけど、」

とぎれとぎれに言うろん先輩

「謝んなきゃいけないと思って…」

『謝るって何を？』

「空、なんにも悪くなかったんでしょ！？
なのに僕…」

なんだ、そんなことか
でもろん先輩ってこういうの引きずるタイプなんだよなぁ
ひと里先輩と違って

「ごめん…」

『もういいですよ、それより柚子の方へ行ってください』

俺はそろそろ飛行機へ乗らなきゃいけない
俺なんかにかまってないで柚子の方へ行って欲しい

「いくぞー空」

『おう！じゃあ、さよなら先輩』

そう残して荷物をもつ
結局柚子はこなかったってことはナノ言ってないんだな
よかったよかった

『じゃあね』

この一言が空を超えてみんなに届けばいい
そんな気持ちでいっぱいだった