【コラボ】傷を癒すために【歌い手】 (ページ6)

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真実～男主視点～ページ6

『Mother?(母さん？)』

「空じゃない！どうしたの？」

電話越しの声は相変わらず明るい

『ちょっと聞きたいことがあって…』

「なぁに？」

確かにこの人はナノのお母さんだ
性格が似てるし

『俺と柚子って子のお母さんについてなんだけど』

そう言った瞬間声はしなくなった
少しの間

「そう、柚子ちゃんそこにいるのね」

やはり柚子を知っていた
会ったことはなくても母親を知っているならその娘だって知っている

『俺の母親と柚子の母親の仲がよかったって本当？』

「母親だけじゃないわ、父親も仲がよかった
でもあなたの母親はあなたが生まれてすぐ死んだ
だからあなたは孤児院に入れられたのよ
両親が死ぬならまだしも、引き取ってくれる親戚がいなかったから」

なるほどな
ナノが大体話してくれたがその通りってわけね

『柚子の両親は？』

「柚子ちゃんは…テロの日までいたわ」

『どういうこと？だって俺が孤児院にいたときは柚子、遊びにきてたよ？』

「そうよ、でもあなたは私たちに引き取られた
そしてテロにあった
柚子ちゃんの両親はねテロの日に行方不明になったの」

なぜ？
行方不明になんてなるはずがない

『じゃあ、その間柚子はどうやって生きたんだ？』

「それは…」

『答えて！』

「……私が、一時的に引き取ったのよ」

母さんが？

「まだ、ナノも幼かったしあなたは病院で入院してるし覚えてないでしょうけど」

嘘だろ？
本当に…

「そのあとナノとあなたはすぐに日本に行ってしまった
だからわからないかもしれないけど中学一年生くらいまでは私が育てたのよ」

『じゃあ柚子の記憶は？
なんで一年前しか覚えてないの！？』

「精神的に限界が来たって医者は言ってたわ
精神の傷が治れば記憶も戻って来るって」

じゃあ本当に？

「そして、柚子ちゃんには謝らないといけないわ」

「え！？私？」

「あなたが中学生になって日本に行ったとき、アメリカであなたの両親が発見されたの
もう…」

死んでたのか
そういうことだ
しかし何故行方不明に？

「おい、空」

片耳のイヤホンから聞こえる声

「柚子の両親行方不明の事件があったぜ

“原因はどこかの者の誘拐である”って書いてある」

誘拐？
まさか

『黒川、父親ってアメリカに少しいなかったか？』

「え、ええ、テロの準備があるって言ってちょっと前から…」

そういうことか
すべて黒川の父親のせいってわけ
これが真実か