私の運命の王子様！③【シャルナーク】 (ページ7)

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【シャルside】

目の前でAが気まずそうに微笑んでいる。

俺は我慢できなくなり、陽菜の腕を掴んだ。

『ちょっといい？

…A、少しだけ待ってて。』

「あ…うん。」

俺は陽菜の腕を引っ張り、店の外に出た。

彼女のヒールの音が今は不快だ。

『Aの前であんなこと言うのはやめてくれない？』

「ああ、彼女？

本当のこと言っただけじゃん？」

『…デリカシーがないの？』

「え、怒った？ごめんー。」

そう言って、俺の体に触れようとした陽菜の手を、軽く振り払った。

『わざとでしょ。』

「…バレた？

だって、私まだ、シャルのこと好きだもん。」

陽菜は俺の5人目の彼女だったのだが、一番苦手なタイプだった。

サークルの試合相手の大学のマネージャーで、俺に猛アピールをしてきた。

その時はすごくいい子で、告白してくれた時、好きになれるものだと思っていたのだが…。

いざ付き合ったとなると、とんだ猫被り。

そんな彼女の言葉に、呆れたようにため息をついた。

『悪いけど、俺はAのことが大好きなんだ。

だから、陽菜がどう言おうとも、俺は好きになることはない。』

結構きつめに言ったつもりだったのだが、陽菜は気にしてきないようで、相変わらず微笑んでいた。

「でも、ここで出会うなんて運命しか感じないんだけど？

しかも、彼女さん、普通じゃない？

確かにかわいいとは思うけど、シャルにはもったいないぐらい普通だと思うなぁ。」

ブチンッと、俺の中で何かが切れた。

『いい加減にしてくれる？

これは運命でも何でもなく、偶然なんだ。

あと、Aのことを馬鹿にされるのが一番腹が立つんだよね。

俺にはもったいないぐらい
・・・・・・・・・
素敵な子だよ。』

女の子相手にここまで怒ることはないのだが、我慢できなかった。

Aのことを悪く言う人は、男だろうが女だろうが関係ない。

『もう帰れ。』

冷たく言い放ち、俺は店の中に戻った。

戻るまで一切振り向かなかったので、陽菜がどんな顔をしているのか分からなかった。