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「なあ、A。」
『ん？どうしたの、クロロ。』
ザァーザァーに降り頻る雨の中、私とクロロは本を読んでいた。
「そこの窓に何か見えないか。」
『え、なになに。もしかして幽霊？』
少し胸を高鳴らせながらそちらを見るとお世辞にも幽霊とは言えないほどの派手さ。
桃色の…髪の毛かなあれ。
『ちょっと見てくるね。』
「俺も行く。」
シャルとフェイはいつも通りトランプに夢中なので、私とクロロだけで行くことにした。
足音を立てずに近づくと私たちの気配に勘づいたのか桃色の髪がフワッと揺れる。
そのまま顔が顕になり、私たちは硬直した。
『え…美少女？』
窓の外には桃色の髪をしたつり目の女の子が立っていたのだ。
彼女は私たちと目が合うと一目散にどこかに逃げていった。
『ちょっと追いかけてくる。』
「ちょっ…外は雨だぞ！」
『クロロは中で待ってて。』
クロロの返答も聞かずに私は外に飛び出した。
キョロキョロと辺りを見渡す。
すると遠方に目立つ桃色が見えたので脚に力を入れて思いっきり地面を蹴った。
ぬかるんでてあまり踏み込めなかったけど。
あっという間に少女に追いつく。
すぐ真横にいた私を見た少女はギョッと目を丸くした。
そんなに驚かれると傷つくぞ。
驚く少女はほっといて、私は彼女を姫抱きにして再び教会にダッシュ。
中に入るとタオルを片手に不機嫌のクロロと、状況があまり把握できていないシャルとフェイがいた。
「何でこんな土砂降りの中走っていったんだ。」
『いやぁ、早くしないと見失っちゃうでしょ？』
「はぁ…。」
あ、クロロが呆れてる。
「勝手なことをするのはAの自由だが無理はするな。」
これ…心配されてる？
『うん、次から気をつけるよ。』
「こんな信憑性の低い言葉は初めてだ。」
『失礼だなぁ。』
「…。」
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きなこもち(プロフ) - ダチュラさん» ありがとうございます(*'ω'ﾉﾉﾞ (2021年5月28日 6時) (
レス) id: 9b397e807b (このIDを非表示/違反報告)
ダチュラ - 初見です！！御伽噺の遠回しな表現が、すごい……！！ (2021年5月27日 22時) (レス) id: d99cf3ac4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年4月4日 20時
