"The truth"

◇◇21◇◇ ページ21

、








夢を見た。





とてもとても、長い夢。







丈くんと私が、海に居る。




夢なんだ、って直ぐにわかった。



丈くんが、笑ってたから。







私はその笑顔を、どう見つめていいのかわからなくて。








夢なら覚めないで、ってずっとそればかり考えてた。








このまま、永遠に眠れたらいいのに。
そしたらいつでも、丈くんに会えるから。







あの女の人にも邪魔されずに、ふたりの世界に入り込める。









ザザーって波の音が聞こえて。







丈くんが何か言ったのに、
掻き消されてしまった。







なんて言ったの？って言うけど
声が出てくれない。






苦しくて、寂しくて。
あぁ、丈くんには伝わらない、って







頬に涙が伝った。









その時、







A！って呼ぶ、丈くんの声が聞こえた。





でも、目の前の丈くんじゃない。
だって口を開いてないから。









なんで？って。
このまま眠らせてよ、って






溢れる涙が止まらない。








手に、懐かしい感覚がして。
一瞬で丈くんの手だ、ってわかったら離したくなくなって。








ぎゅっと手を握ったまま、私は目を覚ました。









丈「……………A…」







「丈、くん」







よかった、Aがこのまま居なくなるかと思った、って





私の手を握ったまま、丈くんが言った。








頬にひんやりとした感覚。
手を当てて拭うと、私の涙で濡れていた。








「丈、くん………




丈くん……………っ」







まだ夢なんだ、
彼が目の前に居る。









再び流れる涙を丈くんの優しい手が拭って、






私を強く抱き締めた。

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