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パチリと目を開けて数回瞬きを繰り返す。意識はあんまり覚醒していないけれど、私の部屋に誰かが訪れていることだけを一番最初に覚えていた。
棘、恵、いや宿儺かもしれないと考えながら、私は身体を持ち上げる。すると私の目に映ったのは__
「Aさん!久しぶり!会いたかった」
「憂太」
嬉しそうに愛しそうに私を見る憂太の笑顔だった。私がベッドに座り直して腕を上げようとすると、憂太は膝をついて私の足の元へと寄ってくる。
「久しぶりだね、憂太。なんか雰囲気変わっちゃった?なんか前よりも優しくなって....あとは自信?がついてるような気がする。その髪型も制服もとっても似合ってるよ」
「あ、あ....分かってくれる?僕、少しはAさんに相応しい男になったかなって思うんだけど__はぁ゛、会えてよかった」
よしよしと憂太の頭を撫でれば、憂太は顔を綻ばせて目を細め私の腰に腕を巻き付けて抱きしめてくる。外見は変わったけど、雰囲気と中身は案外変わっていないかもなんて思う。
しばらく私が頭を撫でていると、憂太はパッと顔を上げて頬を桜色に染め「Aさん....!」と猫撫で声で私の名前を噛み締めるように呼ぶ。
「憂太、とっても嬉しそうだねぇ。顔が綻んでるよ」
「だって....!だって....!Aさんに会えたのが嬉しくて、嬉しくて堪らなくて。ずっと、ずっと、ずっと待ってたから....!」
「ふふ、そっかぁ。私も会えて嬉しい。憂太が元気そうで良かった」
「ああ、好き。好き。好き....!Aさんも僕のこと、好き?」
憂太のサラサラな黒髪を漉きながらもう1つの手の方で頬を撫でると、憂太は私の手を包んでまた私を見る。
私が会えて嬉しい、などと言えば憂太は衝動的に好きと私に連呼し、私にも「好き」と言って欲しそうにこてん、と首を傾ける。
答えは決まってる。
「もちろん、好きだよ、憂太のこと。でもね、あんまり好きだなんて軽く言っちゃダメなんだよ。誰にでも好きって言ったら誠意が足りないし」
「誰にでも言ってるわけじゃないよ。人間としても、生き物としても大好きだよ、Aさん。僕の全て。僕はね、Aさんが幸せでいてくれたらそれでいいんだ。Aさんにならリカちゃんも許してくれるだろうし」
「そうなの?私は憂太にも幸せになってほしいのに」
「Aさん、僕を使って。Aさんの役に立つこと頑張ってするから、だから__」
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ミルクティー - 悟がガチめの信仰者で驚き👀‼️棘が梵天マイキーみたいで、可愛かった (4月8日 19時) (レス) @page13 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
奇花琉 - 花ノ園さんのこの作品夢主のためにみたいな感じでめっちゃ好き…。めっちゃ面白い!! (3月3日 7時) (レス) id: d03b24d678 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - りんごさん» わかりますぅぅぅぅぅ!!!!ヤンデレに依存してしまい従兄弟が泊まりに来てもこっちに集中してしまいます!(何言うてんねん) (2023年3月30日 2時) (レス) @page13 id: aff6f0444c (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱり大好きです!!!!!!ヤンデレさいごおいおうぉぁあ (2023年2月4日 23時) (レス) @page13 id: 64fcbccf7d (このIDを非表示/違反報告)
社会のゴミです - 凄いですね!この小説!性格と真反対なのも可愛い!すごく面白いです!これからも体調に気おつけて頑張ってください! (2023年1月24日 16時) (レス) id: aff6f0444c (このIDを非表示/違反報告)
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