ずっとずっと大好きです。【中原中也】

ろくじゅうよん〜あと0日〜 ページ31

NO side








中原はAのいると思われる場所へと急いで走った。





向かう場所はあの時




二人で夕焼けを見に行ったあの海だ。









「間に合ってくれ……！！」





中原は力の限り走り続けた。









漸く辿り着いたその海には





少しずつオレンジ色に染まる空を背景に海を眺めるAがいた。







「A！！！」







『！！な、んで……ここに中也がいるの……？』








Aは目を見開いて驚く。








「なんで……なんで俺に教えてくれなかったんだよ！！」


『！！だって…だって！！言える状態じゃなかったじゃんか！！

あんな態度ずっととられて……！

あんな時に私が死ぬって言ったら本当に喜ばれるんじゃないかって怖かったんだよ！！』


「！！」




Aは涙をポロポロと流しながら続ける。







『それに！！昔みたいに仲良く戻れても、やっとこの状態に戻れたのに私が死ぬなんて……


言えないじゃん！！だってさ！



あんなに嬉しそうな中也の顔、久しぶりに見たんだよ！？


中也の辛そうな顔なんて見たくなかった！！




だから、中也には黙ってた！！




だけど、心の何処かでは中也に会いたくて、最期の瞬間を中也と過ごしたくて、


中也の事を忘れたくなくて、



だから、









ここに来たんだ。









中也が"また"来ようって言ってくれたこの場所に。』









Aが言い終わると同時に中也はAを抱きしめた。

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