10話 ページ11
「アントーニョは親父さんが設計してギルベルトが造ったのか？」
アーサーの問い掛けに、ギルベルトは返事に困ったように唸った。だか唸りながらも彼は慎重に手をアントーニョの胸に当て術を発動している。
「そうだなぁ、アーサーはなぜそう思った？」
「……」
質問に質問で返され、アーサーは少し黙り考え込んだ。しかしすぐに顔を上げギルベルトを真っ直ぐと見据える。
「アントーニョはギルベルトが造ったと聞いた。だが、お前は機械人間の構造を完全に理解しているわけではなく、構造や術式は親父さんが考えたものだと言った。なら考えられる答えは一つだ。ギルベルトは親父さんの設計図を基にアントーニョを造ったのだろう」
どうだ、とアーサーは目を細める。なるほどな、と微笑むギルベルトに、アーサーは当たったのかと笑みを浮かべた。しかし、
「残念だが、ハズレだ」
とギルベルトは得意気に微笑んだ。
予想が外れたか、とアーサーは眉をひそめるが、ギルベルトは予想を外したことにフォローを入れるように言葉を付け足した。
「ま、アイツに会ったことねぇアーサーが分かるはずねぇよな」
「どういうことだ？」
「どうもなにも、俺様は親父の造った"最高傑作"を模範してアントーニョを造ったんだよ」
最高傑作を模範した。
アーサーの脳にその言葉が何回もリピートして流れる。最高傑作を模範して造られた、ということは、アントーニョのような機械人間を超える、さらに人間に近い機械人間が存在するということだ。
「ちなみにそいつは"エディーニョ"って名前なんだけどよ、アントーニョはソイツに似せて造ったから本当にそっくりなんだぜ」
アントーニョにそっくりな機械人間。正確にはアントーニョがそっくりなのだが、どちらにしろアーサーはその親父の最高傑作とやらを見てみたいと口角を上げた。
「……エディーニョは、普段どこにいるんだ？」
「なんだ、会いたいのか？」
ギルベルトが聞けば、アーサーは素直に頷く。しかしそれを聞いてギルベルトは困ったように唸った。
「いやでもアイツは自由気ままにほっつき回ってるからなぁ……」
次はいつ帰ってくるか、と彼は溜め息をつく。エディーニョには放浪癖があるのだろう。
「ふぁあ、よく寝たわぁ」
「！ アントーニョ」
いつの間にか部屋に充満していたマナは消え失せ、最初来た時のようにランプが辺りを照らしていた。
アントーニョはよく寝た、と何度も言いながら伸びをしてベッドを降りる。
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作者名：ほたてろいど | 作成日時：2016年12月3日 22時
