いいんですか？ Ren.N (ページ4)

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『次逃げ出したら許さんからな？』

さっきの騒動で飛ばされて行った氷嚢を、プンスカした永瀬さんが拾いに行き、私は素直にそれを受け取る。

パイプ椅子から転げ落ちて床に打ちつけた頭に氷嚢を当てて冷し、とりあえず反省の色を見せてみる。

「すみません。他の看護師さんと担当変わってくれたら、もうしません。」

『また、サラっと無理な事言うなや。』

ベッドに脚を垂らして座り、きちっと鍵まで閉められた窓から外を眺めていると、なぜか永瀬さんも隣に座っている。
ケタケタと笑う声が左耳から聞こえてくる。

『知らんかったけど、Aさん、男の人苦手なんやなあ。
ゴメンなあ～、担当俺で。
文句なら俺やなくて、師長に言ってな。』

「分かりました。後で全部言っておきます。」

『オイオイ！おい！冗談や！
マジで俺の首が飛ぶからやめろや！
全く冗談通じないやん。変なとこマジメなんやなあ。
真面目なのはいい事やけど、そんなに何でもかんでも馬鹿正直に受け取ってたらそのうち苦しくなるで？』

え、なんか … すごい喋るじゃん、この人。一見、クールで冷酷そうな見た目からは想像もつかない関西弁のマシンガントーク。

あれ、なんかこの人、意外と話しやすいかも。そういえばさっきから永瀬さんの ‘ いい人ポイント ’ 加算されてる気がする。

『また話聞いてへんやろ。』

隣からため息とともに呆れた声が聞こえた。