107: 君の味 ページ7
潤「何、泣いてんだよ？気持ち悪いな。」
和也「うるさいよ。」
俺は嬉しさのあまり眼から涙が止まらなかった。
良かった………
良かった………
潤「いいから、受けとれよ。手がダルいんだけど？」
和也「ごめん。」
俺は弁当を受け取った。
弁当は、まだ温かかった。
さっき作ったのかな……？
すぐ持って来てくれたんだ？松本。
和也「届けてくれて……ありがと。」
潤「まぁ………お前の顔を見れて安心したよ。意外と元気そうだ。」
和也「さんきゅ。」
松本は、照れくさそうに笑った。
ありがとな………
潤「あーぁ。これから残業だなー。誰かさんのせいで。」
和也「え？これから？仕事終わって帰ったんじゃないの？」
潤「呼び出しくらったんだよ。やれやれと思って帰ったのにさ。残ってた有岡がヘマしたのよ。最悪だなー」
有岡は、俺と松本の後輩で、同じチームで仕事している。
俺と同じ仕事を任されていて、俺が面倒をみていた。
俺がいないと、まー……そうなりますわな。
行かなくても、だいたいは想像出来る。
潤「明日には会社に出てこいよ？」
和也「分かった。」
松本は『だりぃーな』と言いながら、マンションから出ていった。
俺は、弁当を持ちながらリビングへ向かった。
袋から弁当を取りだし、テーブルに置いて、蓋を開けた。
和也「ふふ(笑) 俺の好きなハンバーグ入ってら。」
記憶が無いはずなのに、無意識に俺の好きなモノを作ってくれたんだ。
身体が覚えてるんだ。
嬉しい………
また涙が出るよ。
和也「はぁ。」
俺は、涙を堪えて天井を見上げ、息を吐いた。
和也「よし。食べますか！」
俺は、弁当を食べ始めた。
どれもこれも美味しい。
当たり前だよ。誰の弁当だと思ってんの？
Aのだよ？
美味しいに決まってる。
好きなもの知ってるに決まってる。
和也「うまっ！」
美味しいよ。A。
自然に笑みが出る。
さっきまでの哀しみが一気に元気になった。
ありがとう………
ふと、袋の中にあった手紙が気になった。
弁当を置いて、中にあった手紙を開けてみると……
『早く元気になってください。また、弁当作りますね。』
とメッセージが書いてあった。
和也「バカ…………。楽しみにしちゃうじゃないの。」
俺は、泣きながら弁当を食べた。
君の弁当は、最高に美味しいです。
希望をくれて、ありがとう。
俺、がんばるよ。
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作者名：さくらもち | 作成日時：2017年7月12日 17時
