141: 不思議な女(ひと) ページ41
眉をひそめて見つめる君の眼は、妙に色っぽく濡れていて、漆黒に輝く宝石のようだ＿＿
なんだか………瞳を通じて、心の中を見つめられているみたい…………
君に……引き寄せられていく………
そんな魔力さえ感じるほどだった。
君も……俺の眼を離さない……
ただ一点だけを見つめる……
貴女は……
“ 不思議な女(ひと) ”＿＿
心を癒してくれる半面……
時々、この世のモノじゃない気がして怖くなるんだ。
子供の頃から感じてた。
『なぜ、いつも俺の側にいてくれるんだろう』
『なぜ、俺の気持ちが分かるんだろう』
って………
いつも一緒に泣いて……笑って………
俺の身体の一部になってた。
貴女がいることが、当たり前すぎて…
朝起きたら、何もかも無くなってるんじゃないかって……不安になる。
俺は貴女が必要で……大切な存在。
だから、怖くなるんだ。
貴女に出会って…恋をして
色んな人に出会って
秘密を知って…
みーちゃんだと分かった時には
トラブル起きて…俺の記憶が無くなり…
貴女のお母さんが亡くなり…
そして……今は記憶が戻ってる。
こんなに………上手く行ってていいんだろうか。
何だか、疑ってしまうんだ。
記憶が戻って嬉しいはずなのに、
上手く行きすぎてる気がして。
怖い………
ねぇ………君は…………
和也「…………臭い。」
A「あ！」
Aは、慌ててフライパンへと向かった。
どうやらフレンチトーストを焦がしてしまったらしい。
フライ返しで裏面を見て、ものすごく焦ってる。
ふふ……まったく貴女って人は。
何やってるんですか？(笑)
和也「………ひょっとして、俺は君に踊らされてるのかな？」
A「え？何か言った？」
俺の小声に反応したAが振り返った。
和也「いいえ。何でもないですよ(^_^)」
A「そっか。」
俺に優しく笑って見せた。
君は、「焦げてる部分を切りとれば、何とか食べれるかな」と失敗したフレンチトーストと必死に格闘している。
その慌てた行動が何とも愛しくて。
考えてた事がバカらしく思えてくる。
俺は、Aの頭をポンポン…っと優しく叩いた。
振り向いた君の頬は、ほんのり桜色に染まっていた。
可愛いな(笑)
ま…………俺の考えすぎかな？
一瞬芽生えた “ 疑い ” は、きっと気のせい。
俺はAの頬に手をあて、
そ…っと優しく口づけをした。
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作者名：さくらもち | 作成日時：2017年7月12日 17時
