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「…重岡さん」
私の腕を強く掴んだのは、重岡さん
前に会った時よりさらに痩せ細っていたが視線はしっかりと私を捉えていた
「前、中間淳太のことで失礼なことを言って申し訳ございませんでした」
「え、そんな謝ることは…重岡さんの状況を考えたらそうなってしまうのもしょうがないです」
「…確かに、俺はショックが大きくて…実際淳太はもう会えへんし、でも助ける為に沢山頑張ってくれましたよね」
話すごとに、私を掴んだ手は段々と離れていく
中間さんの話をする重岡さんの目から一粒の涙が流れていた
「あの日の後、冷静になってネットニュースや外を見て、沢山の方が淳太の為に動いてくれたのを知りました」
「…重岡さん」
「結果助からなくても皆さんの努力は感謝せな、きっと淳太も皆さんのことは感謝してると思います」
きっと彼は本気で悔しさと苦しさを感じながらも、私達に感謝をしてくれた
「ありがとうございます、重岡さんの言葉は他の者にも伝えたいと思います」
「あ、ちょっと待って下さい」
感謝の言葉を伝えて立ち去ろうとした時、重岡さんはもう一度私を引き止めた
「Aさんは大丈夫ですか…、新しい被害者が居ると」
重岡さんが言いたいのは、のんちゃんのことだろう
もう知れ渡っているのかと驚き、胸がキュッと痛くなる
「こんなこと聞くのもあれですけど…その、被害者の方って、この前…」
「…そうですよ、重岡さんも会ったことある方です」
重岡さんも、この前私と一緒に居たのんちゃんのことを覚えていた
彼は申し訳なさそうに、私のことを見つめた
「今の状況になって、重岡さんが苦しかった気持ちが私も理解出来たと思います」
「…Aさん、絶対に負けないで下さい、心も身体も」
「…え?」
重岡さんは両手で、私の左手をギュッと握り締めた
「絶対見つかると思います、いや見つかる、信じて下さい」
「…っ、」
重岡さんの言葉に、私の目から涙がポロポロと流れていた
「きっと自分を責めてしまうことも沢山あるけど、負けないで下さい」
重岡さんも絶対辛いはずなのに、私のことを励ましてくれた
彼の言う通り、気持ちが負けてはダメだ
このゲームに勝つ為には、助けたいと思う気持ちを持って勝ちに行かなければいけないんだ
「ありがとう…ございます」
それを重岡さんが教えてくれた
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作者名:り | 作成日時:2021年10月15日 15時