どこに居ても、必ず…

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我が弟の所へ行こうと席を立ったのはいいけど、万次郎がどこいるかなんて私知らなかった。

静かで、人目につかなそうな場所を見て回ってたら外から喜ぶ声が聞こえてきたので、タカちゃんとぺーの話も終わってみんなに報告している最中だと言うことを知る。




A｢あ、めっけ｣




本当に人目につかんとこだなココ……

壁に背を預けてしゃがみこんでいる万次郎にズカズカと近づく。さっきたまたま見つけた武道は壁に隠れていたので声はかけなかった。



私が目の前に来ても特に何も言わずに泣いてる万次郎。

泣くだけでも珍しいってのに……最近の万次郎は情緒不安定だなぁ。





A｢…良かったね。ケンちゃん、生きてるよ｣

万次郎｢…｣

A｢万次郎が寂しがり屋で泣き虫だなんて誰も思わないよねぇ…記念に写メ撮っとく？｣

万次郎｢やめろ……寂しがり屋じゃねーし、泣き虫でもねぇ｣

A｢オマエ今の状況で言っても説得力ないんだけど…｣





ようやっと顔をあげた万次郎は心底安心したような顔をしていた。緊張が解けて、安心して涙が出てきたんだろうね。

可愛いやつ。

頭に手を置いて撫でてやると、そのまま撫でられていてしばらくするとその手を掴んで立ち上がった。






A｢ちょっと…！急に引っ張らないでよ！倒れるとこだったじゃん！｣

万次郎｢A、誰にも言うなよ｣

A｢言わないよ……って、話を聞け万次郎！たくっ…なんて自己中なんだコイツ｣

万次郎｢A、俺腹減った。早く帰ろーぜ｣





全く話を聞かない万次郎をどうしてやろうかと思っていると、急に私の手をとって歩き出した。

腹が減ったと、帰ろうと言って笑う万次郎の顔を見れば怒りはすぐにどこかへ飛んだ。





その顔が、アイツに似ててちょっと、ちょっとだけ、







寂しかった。



だから握ってる手にほんの少しだけ力を入れた。








A｢…万次郎、とりあえず私を駐車場まで乗せてってね｣

万次郎｢は？なんで｣

A｢バイクあそこに置いたまんま｣

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