ストーリー・テラー ：em* ページ8
※マクガフィンのつづき
.
「軍に来ませんか？」
最初に俺に声をかけたのは、柔和そうな笑みを浮かべながらもやたらとガタイの良い男だった。
散々痛めつけられて正直立つ事すら出来ないでいた俺は少しの諦めと僅かに残った反骨精神でその男を睨んではみたけれど、その男はミルクティーのように甘い笑顔で俺の事を担いだのだ。
適当に使い捨てられて死ぬんだと思っていた。
でも入隊した俺は、その予想を簡単に裏切られることになった。
充実した教育や食事、暴力を振るってくる人間なんて一人もいなくて。
その中でも教授、あなたは、ずっと俺を気に掛けてくれた。
駒の一つじゃなくて、俺を見てくれた。
いつだったか、少しずつ知恵をつけた俺が教授を困らせた事がありましたね。
昼下がりの陽が差し込む教授の書斎で。
「教授、人生相談してもいいですか。」
「…どうしました？」
「この先俺はどうしたらいいんでしょう」
教授、あなたは返答に困る事も無く開いていた本をそっと閉じて俺の手を取りましたね。
「貴方がしたい事をすればいいんですよ」
「それが分からないんです」
「でしたら目標や夢を作りましょう。何かを始めるのに遅いなんてことは、人生においてあり得ませんから」
陽を受けて輝くあなたの真珠のような瞳がやたらと綺麗だったことだけを覚えています。
「じゃあ、教授の夢は何でしたか」
俺の言葉はどうやら教授の不意を衝いたようでした。
ちょっと悩んで、んん、と声を漏らして、少し視線を逸らしてから一言。
「……忘れてしまいました」
「大人になると忘れちゃうもんなんですか」
「……どうでしょう」
でも私は、今を後悔はしていませんよ。
困ったように笑う教授の、教鞭をとる時とは違う表情。
大人と子供と言い比べるには互いに近い年齢だけれど、それでも俺はあなたを大人と呼んだ。
今まで身につけてきた教養や人生の全てが、大人と子供ほどに差があると思ったから。
あの時の教授の返事はいつもの品行方正でピシッとしたあなたより少しだけ幼さを感じたけれど、それでもあなたを困らせて教授の素を見たような気持ちになって嬉しくなった俺よりは、あなたは大人で。
そんな俺は、やっぱりわがままな子供だった。
あぁ、そういえば。
あの時そんな幼稚な自分にかこつけてもう一つだけ、教授に聞きたい事があったんだった。
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うぃりあむ(プロフ) - シャム猫さん» シャム猫様、コメントありがとうございます！niさんは登場頻度が少なく中々創作も難しいですものね。かく言う私もキャラの掴みが自信なく不安ではありますが、今後も視野にいれて執筆していきたいと思います！ (2019年11月8日 15時) (
レス) id: 6010886135 (このIDを非表示/違反報告)
シャム猫(プロフ) - コメント失礼します。兄さんが出てきた事が嬉しいです(*^^*)もっと兄さんを出して欲しいなぁ|ω･)初対面なのにすみません(´；ω；｀) (2019年11月6日 23時) (レス) id: 0e68210922 (このIDを非表示/違反報告)
うぃりあむ(プロフ) - 神音さん» 神音様、コメありがとうございます！詐欺師さんとても可愛らしい顔で寝ていて居ても立ってもいられず書きました…！少し前の短編集に掲載したお話ですね、気に入って頂けてとても嬉しいです！是非今後も宜しくお願いします＊ (2019年9月25日 23時) (レス) id: 9df46c5a4d (このIDを非表示/違反報告)
うぃりあむ(プロフ) - 暖炉さん» 暖炉様、改めてリクエストありがとうございました！私としても最推しコンビなので完成まで時間がかかってしまい申し訳なかったです…楽しんで頂けたなら幸いです！是非今後もリクやコメなど仲良くして頂けると嬉しいです〜：） (2019年9月25日 23時) (レス) id: 9df46c5a4d (このIDを非表示/違反報告)
神音(プロフ) - チーノくんのやつこの前のしょーてんネタじゃないですか！！どれだったか分からないですけどtn人狼夢主狂人(両片思い)の話が好きでした！ (2019年9月25日 18時) (レス) id: 7f79e913ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うぃりあむ | 作成日時：2019年8月21日 1時
