天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。結【オリオンの刻印】 (ページ2)

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√36、形作るページ2

『以上、マジックショーでしたー！』

ショーは、Aさんの清々しい笑顔で幕を閉じた。

会場中から拍手が沸き起こる。

この中に、彼女の人生にとって特に大きな存在の人は沢山いる。

例えば明日人くんは、初めてチームの一員にしてくれた幼馴染。
フロイくんは、初めての友達。
ベルナルドさんは、サッカーを始めるきっかけとなった存在。
クラリオは、ずっと目標にしていた選手。
趙金雲監督はそもそも、すべての始まりとも言える人。

その人たちが彼女の骨だとすれば、僕たちは肉や皮だ。

けどどれもこれも、今のAを形作るには必要なもので。

みんな平等に、彼女の大切でかけがえのない存在。その中に、僕も入れてもらえている。

僕はとっくに、君の一部になれていたんだ。

観客に手を振り返すのもほどほどに、Aさんは僕の方を見て、言った。

「あとさ、自分のことそんな責めないでよ。私たちの大切な人を、侮辱したら許さないから」

大切な人。

彼女が僕に、はっきりそう言ってくれた。

「……うん。ありがとう」

また、抑えていた涙が溢れそうになった。

やっぱり好きだなあ。

僕だって同じだよ。
君が大好きで、大切で。

だから僕はいつでも、彼女の想いを尊重したい。彼女が大切なのは、どんな時でも変わらないから。

君が僕達の幸せを望んでくれたように、僕は君に一番に幸せになって貰いたい。

だから、精一杯の勇気を出そう。
最後に僕を選んでもらえるように。
後悔だけはしないように。

どんな結果になろうと、誰かを好きになることは、素晴らしいことなのだから。