７０ ページ20
.
どうだった？みんなできたか？
多分バレてないよ。これで本当に票操作できるんだろうな。
痕跡も残さないだよね？ウイルスの自作なんてさすがパソコン部。
本当にバレないのか？バレたら俺たち…。
新聞部の記事みただろ。どうせ俺たちは負けてんだ。なら少しの可能性に賭けてみようぜ。
勝てば官軍じゃないか。
持っていた鞄が床に落ちた。唖然。開いた口が塞がらなかった。掲示板に張り出された告示、そこに書かれていた当選結果に目を疑った。
「当選は……現生徒会長、代理…」
その一文に呆けたのは私だけじゃなく、続々と登校してくる生徒たちが皆揃って貼り紙を見つめ、その輪が広がり、だんだんと悲喜こもごもが綯い交ぜとなってザワめきが大きくなっていく。
｢え……うそ、そんな…オスマン様が、」
続く言葉は、隣に立つトントンの険しい顔に飲み込んだ。
現実を叩き込まれ、想像以上のショックを受けているであろう元生徒会の面々、そしてオスマン様のお気持ちを思うと胸が締め付けられる。彼らに、トントンに、なんて声をかけていいのか分からず、教室まで送ってもらう途中、しゃあないわと笑うトントンにどう答えるのが正解だったのか分からない。そんなモヤモヤとショックで午前中の授業はまともに手がつかなかった。
「って、全然良くないよ！」
バンッと細く白い腕が不釣り合いなほど力強い音を立てた。叩かれた机に乗っていたグラスが数センチ浮き、氷とグラスが奏でる甲高い音と混じってまた何事もなく机に着地した。
「落ち着けやロボロ。デカいのは声と股間だけにしとき」
「うるさいわ！女子の前で下ネタ言ってんちゃうぞ！」
そんなことより！とウツさんの野次を跳ねのけたロボロさんが今度は後ろに配置していたホワイトボードを強く叩いた。
「これはぜっっったいに不正！不正選挙に決まってる！」
そう言い切った彼が二度三度と可哀そうになるぐらい叩くホワイトボードにはデカデカと新聞部の記事が貼られていた。
それはたった数時間で新聞部が出してきた号外。紙面を飾る記号の大きさと多さが意外性を強調し、新聞部部長の祝辞が載る中、ゴシップとウワサ大好きな生徒たちを相手取ってきた学園の新聞部はそんな綺麗ごととお祝いムードでは終わらない。各所に選挙結果を訝しむ文章が散りばめられていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 519人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
輪廻(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ面白いです！！！！ (2021年10月30日 2時) (
レス) @page23 id: dceee3a757 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - ひなひなさん» あぁぁぁありがとうございますー！！！話数が急に若返りましたね…すいません助かります。しかも褒めて頂いている…！願ったり叶ったりみたいな気持ちです！また何か訂正箇所があったら教えてください！ (2021年4月23日 20時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
ひなひな(プロフ) - 64話が14話になってますよ(ﾎﾞｿｯ)とても面白いです！凄く面白いです！物凄く面白いでs(( (2021年4月23日 18時) (レス) id: a43ccc94fb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまぎ | 作成日時：2021年1月30日 17時
