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鋭い眼光が廊下側の窓からこちらを見ている。休み時間になるたびに、隙間からジッと。
廊下を行き交う生徒など目もくれず、ただ一直線に私へと注がれる視線は、昨日シマさんが帰ったあとメモを消して欲しがる彼に抵抗し続けた私への見張りと牽制を兼ねたものだろう。まんまと気になって元生徒会の話題を出せないどころか、休み時間にちらっとメンバーを見に行けたらなぁなんてミーハーな期待も完全に封じられてしまった。
「なぁトントン、そこで何やってんの」
「窓やってんねやろ」
「どういうこと…?」
見ればロボロさんが窓に張り付く不審な輩に話しかけていた。その自称窓は質問に答えどもブレずに私を見たままだ。
「おいええんか?お前いま窓に話しかけるヤバイ奴になってんで」
「ヤバイ奴はお前やろ。さっきからこっちチラチラチラチラ見よって気になんねん」
「俺はそっち見てませーん。自意識過剰乙でーす」
「なんやとぉ?絶対見てたやろ!おい!こっち見ろ!見ろって!見てぇー!こんにちはー!」
かっわ!ロボロさんが窓枠に手をかけて跳ねてる…!トントンの視界を遮りたいのに身長が足りないんだ。なんて可愛いらしい行動を!
「なんやコイツ全然こっち見ぃひんやないか。なにをそんな夢中で、」
振り返ったロボロさんと目が合った。私とトントンを何度も交互に見て腑に落ちたんだろう。頷いてる。
「ははぁーそういうことねぇー?アイツらが言ってたんはAさんのことだったんかぁ」
「なに見てんねん。見んなやお前」
「Aさーん」
どう反応していいか迷っているとロボロさんが私に手を振った。遠く眺めていたあのニコやかな笑顔で手を振られれば、もうキュンとして反射的に振り返し……そうになってすぐやめた。
般若だ。
般若が隙間から覗いてる。怖い。掴まれた窓枠がミシミシいってる。ロボロさん逃げて。
「ロボロ、お前殺されたいんか?あ?」
「えっなんでぇ?手ぇ振っただけでもアカンの?お前それはちょっと締め付けすぎちゃうか?嫌われるで?」
「っぐ!」
トントンの呻き声とロボロさんの笑い声。ヒソヒソと何か話してしまってここからじゃ聞き取れない。
「なぁ、同じクラスの俺を味方に付けといた方がええんちゃうか?」
「……指1本振るのは許したる。2本はアカンからな」
「ワシはピッピか」
3限目の予鈴が鳴った瞬間、般若はそっと窓際から離れていった。次の休み時間も来るなら何か策を練らなければ…!
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あまぎ(プロフ) - linkeaさん» 心に染みるコメントありがとうございます!tン氏の妥協の産物ロボピッピですが自分で想像して可愛いと悶えたりもしました。彼には是非あざと可愛い行動をして欲しい…!こちらこそ楽しく読んで頂けるのめちゃめちゃ嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (2021年2月21日 16時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
linkea(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます!!19話目のピッピの流れめっちゃ好きです笑 こんなにも面白い話ありがとうございます! (2021年2月20日 12時) (レス) id: b1d2253538 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - ゆりおとめさん» そこに触っていただけるとは!ナカーマです!自分からは好きな人に好意を持って接すれるのに好意を持った相手から好意を向けられると嬉し恥ずかしになってしまう、そんなトnさんを推したくて書いてるので反応頂けて嬉しかったですー!コメントありがとうございました! (2020年10月2日 19時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりおとめ(プロフ) - 10話の「自分からは行けるけど、夢主から来られると挙動がバグるtn」にmoeました。 (2020年9月30日 22時) (レス) id: 01e13c464f (このIDを非表示/違反報告)
ゆりおとめ(プロフ) - 好きです (2020年9月30日 22時) (レス) id: 01e13c464f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまぎ x他1人 | 作成日時:2020年1月9日 18時