【d!】幼馴染は紳士の皮を被ったなんぞや？(ﾄ/n)

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まさか生徒会メンバーに詳しくなってこんな嫉妬の仕方をされるとは思わなかったよ…。
針というかドリルのごとく後頭部に突き刺さる視線が痛くて後ろを振り向けない。


「ごご、ごめんねトントン…トントンのことももっと詳しくなるから」

「いやええよ」

「えっあっ」


突き放されたと思った。
もういいとそっぽ向かれたと思った瞬間、携帯ごと両手を包まれた。


「もともとお互いを知るために一緒に住んどるんやし、考えてみれば他の奴らに先に俺のこと教えられんのも嫌やわ」


登校初日。一緒に住もうと誘われたときのことを思い出した。そういえば付き合う前にお互い深く知るために同棲してるんだった。あれから数週間たってるけどまだトントンのこと全然知れてないと思い至る。


「一緒に住めてちょっと気ぃ緩んでんのやなぁアカンわ」


優しく引き寄せられ、さらに覆いかぶさってきたトントンにあとで教えたるな、と内緒話のように耳打ちされて肩が大げさに跳ねた。喉奥で笑われ、顔が熱くなって俯くと、包まれたままだった両手を高く掲げられた。


「でも腹立つからこれは消す」

「わぁー！？」


せっかく書いたメモが無慈悲な指に全消去された。











お昼のあとの体育はあまり歓迎できるものじゃない。どう足掻いても横腹が痛くなる悩みを抱えるのは私だけじゃないはずだ。体育委員の子を手伝うため少し早めにジャージに着替えて運動場へ向かう昼休み。


「……なんだろ？」


道中でバスケコートのある方向から大歓声が聞こえた。

そこには山盛りとはいかないまでもかなりの人だかり。校舎のベランダからも観戦してる人が見えて好奇心がそそられた。






ダンッ！！！

ド派手な音を立ててバスケットボールがリングを貫いた。地面を跳ねたボールは勢いを殺さず人の上背を超えてフェンスに当たり、一際大きくなった歓声の中、男子生徒が相手チームへ挑発的に笑いかけるのが目に入った。

よく見知った顔。一緒にお昼を食べたから約30分ぶりのトントンが華麗なダンクシュートを決めた現場に立ち会ってしまった。ダンクの迫力もすごいけど食べてすぐあんな激しい運動をしてよく横腹が痛くならないなと感心してしまう。きっと身体の作りが違うんだろうね。
ボールを手に取った男子と何か話しているようだ。

仕切り直しのその直後、軽やかな手さばきでボールを扱っていた男子が立ちはだかるディフェンスを華麗にすり抜けた。


速い、そして高い


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