青春９.次に黒のさんこいちって？ ページ10
龍之介君の眼力に怖気付いていると、不意に織田先生が口を開いた。
「ところで、芥川。今日の昼はそれだけか？」
「…何か問題でも？」
「嗚呼ある。もっと食べろ」
そう云うと、次々に弁当箱にオカズを追加していった。
固まる龍之介君と手を止めない織田先生を他所に、私は話を進めた。
「じゃあ、黒のさんこいちって？」
「あ、それは太宰先輩と織田先生、坂口先生の事だよ」
少し遠慮がちに微笑みながら答えてくれたのは敦君だった。
さんこいちって、確か3人で一つって意味だったよね？
"黒の"ということは、ドロドロしてるってこと？←
「うふふ〜実はね、私達、学年は違えど同じ中学に通っていたのだよ」
人差し指を口の前で立てている太宰先輩は何処か懐かしんでいる目をしていた。
「へぇ…」意外というか、納得というか…。
「中学時代に、とある事件が起きまして…最初の頃は"唯のさんこいち"でした。ですが、その日を境に……」
「嗚呼。何故か"黒のさんこいち"と呼ばれるようになったな」
一体何があった←
躊躇いがちに話し出した安吾先生だが、途中で口籠もってしまった。
その続きを織田先輩が紡いだ。
「その事件、３人のみが関わっているんですか？」
「いや、学校全体が関係している」
はあ、その半分以上が３人というわけか←
「じゃあ、事件を治めたのが３人なんですか？」
「いえ、正確には織田作さんのみです」
出たよ、「織田作」呼び。さんこいちは間違いじゃねぇ←
しかし、織田先生が治めたのに何故2人を巻き込んで呼称が変わったのだろう。
「まぁそういう理由だ。だから、私達を怒らせないほうが善いよ？」
と、悪戯めいた笑みを浮かべる太宰先輩に、敦君は苦笑した。
「怪我を負わせるような事はしませんけどね」
「笑止。病院送りになった者は居る」
「え…」
真逆の爆弾発言に思考が停止する。
そんな私を見て、旧双黒(これ便利←)は楽しそうに笑った。
「うふふふ…そんなに怯えなくても、女の子には手を上げないよ？」
「その代わり、精神的に追い詰めてやるよ」
冗談に聞こえない言葉に更に身を固くする。
「ちょっと、あまり脅さないであげてください」
焦ったように坂口先生が止めたが、全く聞いてないようだった。
私は唾を飲んで、意地を張ってみせた。
「平気ですよ。私、頑丈(ﾀﾌ)なので」
旧双黒は笑みを深めた。
「へえ？その威勢は何処まで持つのかな？」
ひっ！と声が出そうなくらい怖い…。
青春１０.鍵は大事だよね〜…うん。→←青春８.先ず新旧双黒って何？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：入浴 | 作成日時：2018年3月12日 23時
