青春３４.夏祭り編―夏本番 ページ36
「あ、暑い…蝉が五月蝿い……」
「ああぁぁ暑い……君、保冷剤持ってないのー…？」
「乱歩先輩…この炎天下では役に立ちませんよ……」
強い日差しが降り注ぎ、陽炎が揺らめいている中、私と乱歩先輩は前かがみで歩いていた。
今日は休日。
私達は福沢さんに買い出しを頼まれたため、店に向かっている。
「はぁぁ…こんな暑いのに買い物を頼むとか……」
「まぁまぁ…福沢さんも、何処かに用があるらしいですし、仕方ないですよ」
と、説得してみても不満そうに頬を膨らませている。
やっと店の中に入ることができ、冷たい空気に暑さを飛ばして貰った私達は一息吐いた。
ふと、何処かに目を止めた乱歩先輩。
気になり私も見てみると、そこには太宰先輩と織田先生が居た。
「あの２人、仲良いですよね…」
「織田先生が居ると、太宰は遅刻もサボりもしない。
国木田の救世主だと呼ばれている」
「そ、そんなに！？」
驚きのあまり、大きな声が出てしまった。
私の声に気づいた２人がこちらに視線を向けた。
すると、太宰先輩は目を細めて微笑んだ。
手を振りながらこちらへ移動してくる太宰先輩。
その後ろを着いてきた織田先生。
「これはこれは…乱歩さんとAちゃん！」
「福沢先生のお使いか？」
「そうだけど、君達は？」
「俺達は昼食を買いに来た」
ここで、私は違和感を感じた。
「ら、乱歩先輩…？今……」
「ん？何？」
織 田 先 生 に タ メ 口 だ っ た ？
なかなか声にならず、金魚の如く口をパクパクさせていると、太宰先輩が吹き出した。
「うふふふ…君の言いたい事は分かるよ。
でも乱歩さんだからねぇ…ふふふ」
「言いたいこと…？」
太宰先輩は肩を揺らしながら笑っているが、織田先生は訳が分からないといった顔で私と先輩の顔を交互に見た。
「さっき、何故僕が織田先生にタメ口だったのか…それを聞きたいんでしょ？」
もう当てられたからと驚くことはない。
この人はこういう人なんだ。
「あのねぇ…僕は人に簡単に敬語を使わないの！」
「如何してですか？」
「はあぁ？そんな事も判らないのぉ？」
呆れた顔で腕組みをした乱歩先輩は腹立たしい。
反抗しようと口を開くも、太宰先輩に止められた。
「あのですねぇ…！！」
「はぁーい、そこまで！落ち着こう、Aちゃん？」
続く (更新停止中)
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作者名：入浴 | 作成日時：2018年3月12日 23時
