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青春21.私じゃない…よね? ページ22

『最近さー黒組と仲良いんだよねー!』

『毎日一緒に居るんだよ!』

『何か知りたい情報があれば聞くよ?私が集めるから!』


「情報って…何の?」

印刷はそこで終わっていたので、私は顔を上げた。

「これと私…何の関係が……」

「それ、手前じゃねぇかと思ってな」

私の台詞を遮って、中原先輩が口を開いた。

これが、私?

「私が、情報を集めてるって…」

唐突に言われた事に思考が追いついていかない。

「最近、僕等と共に居る女子はお前しか思い当たらぬ故。

どうだ、その者はお前で間違いないか?」

「違う…これ、私じゃない!そもそも、私はこんなサイト知らないよ!」

無意識に焦ってしまう。

「そう…なら善いんだ。時間を取って悪かったね」

私の手中からプリントが消えた。

太宰先輩が取ったのだ。

「帰っていいよ」


――――綺麗な夕日が街を照らす。

世界に橙色が広がっている。

私は1人、トボトボと歩いていた。

生徒会室内で聞かれたこと、あのプリントが頭の中をぐるぐるとしていた。

「遅かったね」

「え…」

私はいつの間にか家に着いていた。

今、正に通り過ぎようとしていた。

乱歩先輩が声をかけてくれなかったら、私は知らない所に立っていただろう。

「あ、えっと…済いません。少し用事が…」

「何?嘘吐く気なの?」

言い当てられ、思わず肩を揺らす。

「知ってるよ。何があったのか。取り敢えず入りなよ」

先を行く先輩についていき、家の中へ入る。

「ただいま帰りました…」

「おかえり」

先輩ではない声が聞こえ、ハッと顔を上げる。

腕組みをした福沢さんがそこに立っていた。

私服だろうか。大分ラフなグレーのパーカーを着ていた。

「あ……あの、遅くなりました」

「うむ。明日からはもう少し早く帰って来い。

遅くとも私よりは早めに家に居てくれ」

「は、はい。済いませんでした…」

福沢さんは、それ以上何も言わなかった。

聞いて来なかった…。


その夜、眠れそうになかったから机に向かって座っていた。

すると、ノックする音が聞こえた。

「私だ。入ってもいいか?」

「ふ、福沢さん!?どうぞ…」

寝巻きの福沢さんは遠慮がちに入ってきて、私の隣に立った。

「済まん。出来るだけ聞かぬようにしたかったのだが、どうしても気になってな。

今日の放課後、何があった」

非常に云いずらい。

「えっと…」

説明しようと開いた口は、一つの着信音によって言葉を発せなかった。

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作者名:入浴 | 作成日時:2018年3月12日 23時

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