青春2.初めまして、学園長! ページ3
「此処が…学園長室ですか?」
デデン!と効果音が見えそうなくらいに威圧感ある扉だ。
「そうだよ。さァ!行ってらっしゃい、Aちゃん」
ぽんっと背中を押され、不安を抱えながらもドアノブに手を掛ける。
「私は此処で待っているよ」
「え、教室に行かないんですか?」
「何を云っているんだい?ちゃんと教室まで送るよ」
当然のように云った太宰先輩は、壁に背を預けた。
「えっと…其処は教師が案内してくれる処では?」
そう、こういうのは教師が教室まで共に行ってくれるのが定番だ。
「残念ながら此処の学園、『自己解決』がスローガンでねぇ…迷子になった新入生は数知れないのだよ」
「矢っ張り待ってて下さい。遅刻したら謝りますんで」
恐怖しかねぇな、この学園。
笑顔で手を振る太宰先輩を信用して、いよいよ学園長室へと足を踏み入れる。
「随分と気持ちの整理が長かったな、Aの小娘」
奥には手を組んでずっとこちらを見据えていたであろう学園長が机に肘をついていた。
ラスボス感がハンパない←
山高帽を被り、薄く口髭を生やしている初老の男性だ。
何だろう…この三毛猫感←
「お、遅くなりました」
バクバクと心臓が鳴る。
「全くだ!老人を待たせるものではないぞ!
まぁ其処に座れ」
其処というのは、一つだけ置かれた椅子のことだ。
私は遠慮がちに腰を下ろす。
「儂の名前は夏目漱石。判っとるだろうが、此処の学園長じゃ」
「は、はい!これからお世話になります!」
{第一印象}威厳ある人だな…三毛猫っぽいのに←
そういえば、三毛猫ってオスが少ないんだっけ?
あ、今関係ないか←
「話は福沢から聞いとる。災難じゃったなあ」
「いえ、ニュースの後、直ぐに福沢さんが連絡をくれたので…そこまで苦労はしてないです」
うん、間違いない。私はちっとも苦労してない。
ただグズグズと悲しみに浸って手を差し伸べてくれる人を待とうとしてた。
思いの外、すごいスピードで差し出されたけど←
「フン、確かにそうか。ところで、我が学園の印象はどうじゃ?」
「印象ですか?えっと、良い処かと…」
「正直に云ってもいいぞ?」
「先輩が可笑しいと思います←
若しかして、留年生が多いのでは?」
「その通りじゃ。よく判ったの」
いや、そこは否定して欲しかった。
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作者名:入浴 | 作成日時:2018年3月12日 23時