青春１.太宰先輩という人 ページ2
「それじゃあ行こうか」
乱歩先輩とポオ先輩の２人と分かれ、私は太宰先輩に付いて行った。
学園長室案内係として、私が選んだのだ。
乱歩先輩に「ここで1人選ばないと、君の青春は死ぬよ」的なことを云われ、渋々。
青春が死ぬのは嫌だ。
という事で、フレンドリーで話し掛けやすい太宰先輩を選ばせて貰った。
斯(か)く言う私は、早速後悔している。
太宰先輩の機嫌があまりよろしくない(かもしれない)。
「あの…太宰先輩？若しかしなくても嫌でした？」
「うん？如何して？君のような可愛い子に選んで貰って私は嬉しいよ」
あ、ほら、この顔。この台詞。
これを武器に何人の女を落としてきたのだろうか。
星よりも多いだろうな。
「それならいいですが。断っても良かったんですよ？」
矢っ張り不安で、おずおずと云ってみる。
ピタリと足を止めた太宰先輩を追い越しそうだった。
「うーん…確かに、さっきの私の反応はそう思われても可笑しくはなかったね。
本当に厭なわけではなかったのだよ？ただ…」
「ただ…何ですか？」
「やっぱり秘密♡」
無駄なその「♡」がウザ…ゲフンゲフン。←
秘密って…めっっちゃ気になる秘密の仕方だな。
再び歩き出した太宰先輩の横に並ぶ。
「教えてくれないんですか？」
「うん、教えてあげない。
乱歩さんの台詞からして、私とAちゃんは青春をしそうだね」
「あーそうですかね？精々友達止まりじゃないですか？」
と云うと、太宰先輩は意外にも驚いた表情をした。
その後に楽しそうに微笑むし、この人、忙しいな。
「そう？私はとっても良いことが起こりそうな予感がするけどね」
「そうなんですか。新しい友達でも出来るんですかね」
「君の青春って友情で終わるものなのかい？」
太宰先輩は半分呆れを含んで苦笑した。
彼氏が出来ずとも友がいれば人間なんとかなるもんだ。
誰かが云ってた気がするが、矢張り誰も云ってなかった気がする。←
「だって、彼氏が作れる自信とかありませんし。
友達が10人以上出来ればいい方じゃないですかね」
「わー、失礼かもしれないけど君、本当に彼氏出来なさそう。
っていうか、作る気ないでしょ？」
いよいよ呆れが6割を占めた。
「"作る気"はありますよ！
"作れる気"がしないんです！」
「そこのところ勘違いしないで下さい！」強めに云い返したが、太宰先輩は軽く流した。
前言撤回、仲良くなれる気がしないわ。
「着いたよ」
……いつの間にか着いてたし。
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作者名：入浴 | 作成日時：2018年3月12日 23時
