10.愛しい ページ10
カチャカチャと
食器を重ねる音が響く
ジェラル「よく食べたな」
キリミ「そりゃあね」
完食された皿を見て
何故か満足気に微笑むキリミ
自慢気に笑うその姿が
どこまでも子供のようで愛らしい
ジェラル「高橋に伝えておくな」
キリミ「うん、お願い」
柔らかくなったのか、はたまた
トゲが増えたのか、
でもまだ、近くにいられる、から
ジェラル「…キリミ」
キリミ「ん、なに」
ぎゅ、と抱き締めた、暖かいぬくもり
キリミ「ん、ぇ、じぇら…なになに」
ジェラル「…」
お前を身近に感じていたくて
キリミ「なに、なに、急に…」
ふんわりと漂う、石鹸の匂い
ああ、これ、私の好きな匂いだ。
首筋に顔を埋めると
びくん、と小さくキリミの体が震えた
キリミ「え、ゃ、ジェラルっ…？」
服から伸びた青色の足が
シーツを引っ張る
ジェラル「…変わらない、なあ」
キリミ「っ…？」
背中に回された手が
きゅ、と私のシャツを掴んだ
ジェラル「…ぁ」
びくびくと体を震えさせている
キリミを見て、我に返る
ジェラル「い、いやだったか」
キリミ「ぁ、ぇ、………別に」
キリミの肩を掴み、顔を見る
ゆらゆらと目元に張り付いた
涙の膜がライトに照らされて
てらてら揺れている
ジェラル「顔、赤いぞ」
キリミ「誰のせいだと……っ」
ジェラル「…すまない」
キリミ「………っ」
顔をしっかりと見たくて
魚の被り物をそっと脱がせると
外気に触れてぴくん、と
もう一度体を跳ねさせるキリミ。
キリミ「…や、だめ、見ちゃだめ」
古傷を見て、そっと触れる
痛くはないのか、キリミは
ぱちり、と瞬くだけで
キリミ「…ジェラル、ねぇ、」
細いしなやかな手が私の頬を滑る
一方通行の思いと分かっていても
止まらなくて
ああ、もう
こんなにも、愛しい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨粒 - しししっしししらちゃ…！？！？(違ったらどうするアホ)あっああああありがとうございまずっ(土下座)頑張りまずっ(号泣) (2021年7月20日 2時) (
レス) id: 7ece90430c (このIDを非表示/違反報告)
しらす。/sirasu。 - …こういうのかける人ほんと凄いと思います。応援しています…！！ (2021年6月26日 19時) (レス) id: fcb24bf181 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨粒 | 作成日時：2021年5月1日 20時
