↓ ページ33
『ほんまの気持ち、教えてや』
思わずポロッと口から言葉が出た。
さっきとは違う様子で彼は目を見開く。
まるで、素で驚いているように。
そんなこと言われるとは、思ってなかったとでも言うように私の目を見てきた。
tn「ほんまの気持ち…とは？」
『そのまんまやで。トントン、今もなんか悩んでるやろ…？』
ただの勘。
ほんとにトントンがなにか悩んでるかどうかは分からない。
けど、私にはそう見えた。
tn「…言ったら、あんたに迷惑がかかる」
「あんた」…って。
トントンの口から初めて聞いた言葉。
突き放されたように、
急に他人になったように。
これ以上踏み込むなどでも言わんばかりに。
でも私は、あなたのために。
『私は別に迷惑だとは思わない。
トントンにどう思われてもいいけど、私はあなたに少しでも楽になってもらいたい』
本気で、彼の目を見据えてそう言う。
トントンも私の目をじっと見つめてくる。
私の気迫に負けたのか、トントンがふっと口元を緩めた。
tn「ほんま、姉ちゃんには適わへんわ…」
『え…？』
tn「まだ俺ら、出会ってちょっとなのにもう俺の心掴んでさ」
ぽつぽつとトントンは話し出した。
tn「もう、離れたくなくなるやん。いつかは離れる日が来るのに。俺とゆうやみたいに、離れる日が来るのに。それが…怖い」
そっか。
トントンは今一緒にいる誰とも離れたくなかったんや。
彼の1番の悩みは
みんなの世話が多くて寝れんことでも、
色々一人で背負ってることでもなくて。
また誰かを失うかもしれないことに対する恐怖心やったんか。
『そっか…そうなんやな』
目頭が熱くなるのを感じる。
もう、なんで私が泣いてんだか。
『気づけへんくて、ごめんな…？』
ボロボロと出る涙は止められなくて。
彼の辛さを考えると胸が痛くて。
もういいや、泣いちゃえ。
私はトントンに思い切り抱きついた。
彼が昨日大熱を出していたことは忘れよう。
許してくれるよ。
『うぅん…ごめんなぁ…』
tn「なんで姉ちゃんがっ…謝るん？」
トントンが私の背中をさすってくれる。
普通逆やろ。
そう思ったから、私もトントンの背中をさすった。
『トントンも泣いていいよ？』
tn「…」
『私と一緒に全部吐き出しな…？』
tn「でも…」
『迷惑やないから』
私の最後の一言でトントンは堰を切ったように泣き出した。
私の肩に顔をうずめて泣く彼の頭を、私はしばらく撫で続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 917人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆずれもん - ｼｬｵﾁｬﾝ (2019年9月11日 4時) (
レス) id: cb597fc79d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 皆可愛い！これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2019年9月7日 19時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - 更新される度に毎度毎度読ませていただいてます！ありがとうございます！夢主が弟達に甘やかされるっていうのも見てみたいですね、応援してます〜 (2019年9月1日 22時) (レス) id: 051e811b55 (このIDを非表示/違反報告)
だる猫(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！小説内での設定ということでしたら申し訳ないのですが、日本の法律では血縁関係のない義理の兄弟姉妹での結婚できますよ！がんばれポメラニアン！！(( (2019年8月27日 0時) (レス) id: d17492cb24 (このIDを非表示/違反報告)
yotuba0902 - ﾄｼ@堕天使のサブさん» お姉ちゃん…？ (2019年8月22日 17時) (レス) id: 101a506f7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：☆雅空☆ | 作成日時：2019年8月18日 22時
