【BTS】シュガーシガーキス

□予備校 ページ12

＊

「ねぇ〜〜、お前に彼氏いるとかあの日初めて知ったんだけど〜〜」


隣でママチャリの一個グレードアップしたバージョンみたいな。
細いタイヤの自転車を押すホソクがにやにやしながらいう。




現在時刻は9時45分を過ぎたくらい。

勿論予備校の帰り。

ユンギさんには態々伝えてないけど、実を言えばわたしはいつも一人で徒歩で帰宅しているわけじゃない。

大抵はホソクが一緒。




「いつから？」
「……内緒」
「何それ笑」



ユンギさんの事はわたしとユンギさんだけで完結させたいし、大切にしたい。
だから彼とのことを人に話すことはあまりしたくない。

それは、この学校に入学した時から仲のいいホソクにでも。



「ホソク」
「ん？」
「あんまりあの人については聞かないでほしいかな」


元々。人から自分のことを詮索されるのは好きじゃない。ユンギさんの事になると尚更。ってだけで。




「それは無理」
「無理？」

予想外の返事に素っ頓狂な声が出てしまう。

ホソクの好きところは、わたしの性格を理解してからはあまり深入りしようとはしてこなくなったとこ。
だから珍しくホソクが少しだけ。わたしへ踏み込もうとして来ているのを不思議に感じた。




「……お前、ほんとに気付いてないの？」
「え？」




察しはいい方だという自負がある。

気付いてない。という台詞がそんなわたしのちっぽけなプライドに少しだけ刺さって半歩前を歩くホソクを見ると、街灯に照らされたその表情は何処か辛そうで、そんな彼は初めてだったから言葉が詰まった。


何も言い出せず、ホソクも黙ってしまう。


車の音以外聞こえず、珍しく二人で無言で歩いたところでわたしのブレザーから聞き慣れた電子音が重たい沈黙を破るように着信を知らせた。

それに何処か助かったと思いながら「もしもし」と電話口に話しかければ。




『おい、今何処』

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