一松 ページ29
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ふと一松君の表情が真剣なものに変わった。
「一松君?」
澄んだ瞳が私を見返してくる。
一松「……綺麗」
「え?」
思わず聞き返すと、一松君の表情がハッとしたものに変わり、慌てて私から離れた。
一松「あ。ご、ごめん………」
「あ、こ、こっちこそ。庇ってくれてありがとう」
お互いに向かい合いながら、ペコリペコリとお辞儀をする。
傍から見たら可笑しなやり取りかもしれない。
だけど…。
一松君の事がちょっとだけ分かったみたいで嬉しい。
そんな事を考えて、一松君を見る。
すると合わせた様なタイミングで目があった。
一松「…あのさ……」
「?」
一松「こんな事言うのは…俺らしくないし……いつもだったら絶対言わないけど……」
一松「今日…Aが図書室に…来てくれて良かった…」
そう言って一松君は下を向く。
「一松君…」
呟きながら、胸元をギュッと掴む。
私、どうしちゃったんだろう…?
さっきから心臓がドキドキ鳴っているのを感じていた。
?「すみませぇ−ん、本の返却したいんですけど−!」
入口の方から大きな声が聞こえて、私は慌てて立ち上がる。
?「あれ、誰も居ないの?」
続けて聞こえてきた声に大きな声で返事する。
「は、はーい!今行きます」
一松「じゃあ、カウンターに…。」
言いかけて、一松君はすぐ側に置かれたカートに視線を移した。
そこにはまだ返却中の本が残されている。
「あ、じゃあ私が行って来るね。一松君は、カートの本を棚に戻してくれる?」
一松「…うん。」
くるりと向きを変えてカウンターに歩き出す。
本を返しに来たのは、おそ松だった。
おそ松「お−! A!お前、図書委員だったけ?」
「う、うん。おそ松が本を借りるなんて珍しいね」
おそ松「いやぁ、それが教科書忘れたから借りたんだけどさぁ〜、…」
「?」
おそ松「お前、大丈夫か?」
「?何が?」
おそ松「いや顔、すごい赤いぞ」
おそ松が心配そうに私を覗き見る。
「えっ!?そ、そんな事ないよ!?」
私は赤くなった頬を隠すように、下を向いた。
返却作業をしながら、ふと考える。
さっきの一松君の顔、すごい近かった…。
ちょっとドキドキしちゃったな…。
❁一松END❁︎
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みゆり(プロフ) - ぱわさん» コメントありがとうございます!この後、十四松のお話です! (2019年10月16日 9時) (レス) id: 0f30c1d8ba (このIDを非表示/違反報告)
ぱわ - あれ?もう、完結ですか!? (2019年10月14日 10時) (レス) id: dc49dd12be (このIDを非表示/違反報告)
みゆり(プロフ) - カラ松ガールさん» 本当ですかー!?ありがとうございますー! (2019年10月13日 19時) (レス) id: 0f30c1d8ba (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - この小説めっちゃ好きです!更新待ってます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
みゆり(プロフ) - れんやん。さん» 本当ですか!??そう言って貰えて嬉しいですー! (2019年10月12日 17時) (レス) id: 0f30c1d8ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆり | 作成日時:2018年12月8日 14時