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雑談。 ページ4

棗達や蛍に捕まることなく、私は北の森の中を歩いていた。

久しぶりに1人になった気がする。

北の森は人が滅多にこない。

サボリにはうってつけで、たまに元パートナーの翼がいたりする場所でもある。


「千華?お前もサボリかー?」


早速、木の上に翼の姿があるのが見えた。

「も、ってことは翼もサボってるんだ?」

「まーな、授業つまんねーんだよな」

そう言って身軽に降りてきた翼の目元には黒い星、罰則印が刻まれている。

刻んだのは瑠衣ちゃん。

「…それ、痛むの?」

それ、がなんのことか察した翼は指先で触れながら苦笑する。

「たまにな、最初の頃に比べると全然マシだぜ?」

そう言って笑う翼。

今から1年前くらい。

翼達が中等部にあがってしばらく経った頃、

中等部の生徒が一時星なしになったという噂が初等部に入ってきた。


その噂を聞いたとき、何をしたら星なしになるんだ。と他人事のように思っていた。

能力別クラスの授業で、特力の教室に入ると、その噂の張本人が翼だと知って驚いた。

3つあったはずの星バッジはなくなっていて、代わりに翼の目元に黒い星があった。

瑠衣ちゃんのアリスによるものだと直ぐにわかった。

初めて私がその罰則印をつけた翼を見たときは、

何とも言えない表情をしていた、と美咲先輩が言っていた。

悲しむ様な、驚いているような、何かいろんな感情がごっちゃって感じ?だと。

あの時、私の顔を見た翼は固い笑みからすぐに若干泣きそうな、

そんな表情で私を抱きしめてきた。

心配するな。と。

そしてどうして罰則印をつけられたのか、だんまりの翼の代わりに美咲先輩から経緯を聞いた。

要君のアリスを学園側が悪用していた、らしい。

どのように悪用されていたのかは翼しか知らないらしいけど、翼は何も言わなかった。

言いたくなかったんだと思う。

知らないうちに要君のアリスは初等部校長に目をつけられていたらしい。

未だに私を抱きしめたままの翼は言った。

"…自分がしたくてやった。だから…後悔してねぇんだ"と。



「…要君、最近会ってない」

「んじゃ、会いにいくか?」

「今から?」

「おう、会いたいときに会いにいく、普通だろ?」

そう言って翼は私の手を引いて歩き出した。

強引で、いつでも私の前を行く翼は初めて会った時から変わらない。



「翼、先輩みたい」

「みたいってなんだよ?実際先輩だろ?」



翼は笑う。



屈託のないその笑顔はいつも私をいろんな世界に連れて行ってくれた。

お見舞い。→←犬猿の仲。



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設定タグ:学園アリス , 日向棗 , 臨楽   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:臨楽 | 作成日時:2020年11月6日 0時

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