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最終組なだけあって、
とても速いスピードで走り抜けて行く。
でも、速いはずなのに
まるでスローモーションのように
時間がゆっくりになっているのを感じた。
最終組が走り出した瞬間から
周りの音も声も何も聞こえなくなって
周りの人も何も見えなくなって、
私の目には、ただ一人
重岡の姿だけが、はっきりと映っていた。
まるで、今この場所に重岡しかいないみたいに、
まるで、誰かが私の目をコントロールしているみたいに、
速いけど、ゆっくり
重岡の姿がどんどん私の中に刻まれていく。
具合が悪いことなんて忘れていて
思わず立ち上がった。
A｢重岡！｣
ゴールテープを切ったのは、重岡だった。
ゴールした直後、
私の方に太陽みたいな笑顔を向けた。
その瞬間に、全部分かった。
さっきの二度目のピストルが
なんのスタートを示していたか、
なんで私の世界に映ったのが
重岡だけだったのか。
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作者名：あおり | 作成日時：2017年4月12日 19時
