【ホラー】いかないで。【太宰治】

悪夢。 ページ2

__バリッ、グチュッ…






"オイシイ,オイシイネ オカアサン"








"ボウヤ。もっとたんとお食べ"







"オカアサン,オイシイ！ オカアサン,オイシイネ！"







"あぁ…そうかい。もっと、もっと、食べて。早う…大きくおなり"








其処に居たのは





真っ黒い顔に、細長い白い目だけが妙に浮き上がっている人の赤ん坊の形をした"ナニカ"と




そんな"ナニカ"を愛おしそうに撫でる朽ち果てた見るも無残な女の姿。





.

.





___ジリリリッ！！






『…はっ！？夢！！？』







何てありがちな展開なんだ夢オチなんて。




おかげで汗がびっしょびしょ…キモチワルイ。




折角今日は同僚と所縁が有るっぽい(?)地で遊ぼうと思ったのに…




風呂入んないと…





"オカアサン、オイシイネ！"




『…っうぅ…っ』





あの気味が悪い、無機質な声が




耳にこびりついて離れない。





よく見えなかったけど…あの化け物なんか懸命にひたすら何かを喰ってたな。




なにか…硬いもんを噛み砕く様な音とくちゃくちゃとした水音が妙にリアルで…。





嗚呼、ダメだ…思い出すな…！！



悪寒が走りゾワリと背筋が震えた。







『って…！やばい！風呂はいんないと！！』









時計を見ると思ったより遅い時間で







急がないと約束の時間に間に合わないんだけど…！！

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