travel 50 ページ4
流石にここでベルとパールスワルトがリオ達の様子がおかしいと気付き、傍にやってくる。2人はアルティアの様子に驚いたもののすぐに
「アル君!?ちょっと、しっかり!」
「おい、返事しろ!」
と声をかけた。だが、それでも返事はない。
「あぁぁ…!!!ちがっ…おれ、じゃない…!!!」
口元に手をあてたまま呟くように吐き出された言葉は、酷く幼げでそうにも普段の彼とは結びつかない。ベルはそんな中、リオにラナを抱えるように言った。このままだとラナに被害が及ぶかもしれないからだ。パールスワルトは肩をゆすって、アルティアを正気に戻そうとするが
「おいこらしっかりしろバカ!」
「やめろ、おれじゃ、ない…!おれじゃないんだ!!」
アルティアは右手でパールスワルトの顔面に掌底を喰らわす。その時、ゴッという音と同時にボキッという嫌な音もしたがそれどころではなかった。まともにゼロ距離で顔面に掌底を喰らった彼は思わずのけぞり、代わりにステッキを持ったベルが近づく。
「んがっ!!!」
「おっと…アル君!!」
「っ…―――…」
アルティアは何か言ったが、それは誰にも聞き取れなかった。そこでベルは、見た。アルティアの目が赤い事に。だが、うっすらと右目が赤紫になっている。どうやら完璧には飲まれてはいないようだ。
「そうだ。ねぇアル君。今から僕と――踊ろうか」
「「「!!?」」」
「――――」
「―――え?」
ベルがそう言った途端、赤い目をしたのが一瞬だけ青になって、彼は言った。その言葉が、聞き間違いかと思って聞き返すがすぐに赤に戻ってしまう。だが、ベルの言った踊るとは手合わせだという事は理解しているようで、やる気満々のようだった。
「リオ、ラナちゃんを頼める?あと、パール君も。アル君こう見えて怪力みたいだし、その力で掌底ゼロ距離で喰らったでしょ」
「あぁ〜…いてて」
「……あぁ、頼んだ」
とりあえず後の事を頼んだベルは、夜になったファランの街を歩き、そして広場―恐らくファランのシンボルであろう石造りの中に大きな樹がある広場に来た。ここなら恐らく思い切り暴れても大丈夫だろう。
「はは、武器忘れテた。まァいイよな!」
「そうだねぇ、今の君は強いからきっと武器なんていらないよ」
さらりと言ったが、内心はどうしようと思考をめぐらすベルだった。
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時