travel 58 ページ12
・・・
あれから何分が立ったのだろうか。一番近くで見ていたアルティア達だったが、ベルがポツリと呟いた。
「…まずいな」
そう、リオとアレクの状態を見てだ。2人ともほぼほぼ互角だったが、やはりリオの師匠だけあって彼女よりは数枚上手のようだ。徐々にリオが押され始める。その状況を見て、アルティアが
「やれやれ、この大会って飛び入りと乱入参加ってアリだったよな?」
とベルに言う、というよりは確認だった。その言葉を聞いたラナがリオ姉の事を頼んだよ、という。どうやらみなまで言わなくても分かるらしかった。ベルもにっこり笑って
「暴れてくればいいよ」
という。が、アルティアには分かっていた。その意味は暴れるではなく、相手――アレクをボコボコにしてこい、というものであることに。それが分かっているからこそ、アルティアは敢えて自分の愛用の武器である長柄のハンマーを出さずに
「任せとけ!」
と言って会場に飛び込む。それも、リオとアレクの間に。2人は戦いに夢中になっており、気付かなかったらしく、目を丸くして驚いた。
「おら、選手交代だ!」
「「!?」」
「おおっと!?ここで乱入者だぁあ!!」
司会が、アルティアの乱入を認める。そこで大きく観客たちが盛り上がった。アルティアはそれを聞き流しながらもリオとアレクに向かって言う。
「おい、リオ。選手交代、こっからは俺に任せろ。んで、おっさん。相手は俺だ」
「んな!?何を言ってるんだ!!私はまだ戦える!!!」
「ほう?お前さんみたいなひょろっちいのが?」
リオは反対、アレクは興味津津、といった様子で言葉を返す。だがアルティアはリオが反対するのは予想済みだったらしい。
「死にてぇのか?このままいけば、お前は死ぬぞ」
「っ――!」
いつもより低いトーンでそう言われて、言葉を詰まらすリオ。なんとなくそれは察していたらしい。だからか、リオは彼の言うとおり、大人しく引き下がった。そしてリオが引き下がるのを見届けたアルティアはアレクに向かって言う。
「お前がリオの師匠か。よくもまぁ、自分の弟子に“あんな危険なモン”渡せるな」
「くくっ!お前さん、強いなァ…それも、リオよりもかなり」
「そりゃどーも」
アルティアは、アレクを睨みつけ、そして蹴りかかった。
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ユエル@リノリア(プロフ) - りょーさん» コメントありがとうございます!不定期更新なのでいつ更新できるかわかりませんが、待っていてくださると嬉しいです! (2017年10月16日 18時) (レス) id: cfdb788b81 (このIDを非表示/違反報告)
りょー - とても面白かったです!続き待ってます! (2017年10月15日 17時) (レス) id: b27fe6d1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユエル@リノリア | 作者ホームページ:
作成日時:2016年3月20日 23時