第百二十二話。説明。 ページ33
「ほら恭弥、ツナくん達が呼んでるよ」
「いやだね。行かない」
さてさて、前回の話から一転、今度は恭弥が座り込んで動かなくなってしまっていた。
電話で聞いた話だが、ツナくん達は今森にいるらしく、翌日そこで最終決戦という話になったらしい。
なので僕達もそこへ向かおうと思ったのだが、この一匹狼、電話を受けてから数十分たっても動きやしないのだ。
「まぁ、まだ時間に余裕はある。恭弥の説得はゆっくりやってこうぜ」
治療を受けているディーノさんがわははと笑う。甘やかしすぎでは？
「向こうに行って説明やらなんやらして貰おうと思ってたのに……」
深いため息が漏れる。前回駄々をこねていた僕が文句言えないけどね。
すると僕のため息を聞いたディーノさんはぱっとこちらを向き
「おっ、それなら俺の知ってる事なら説明してやるぜ？」
と僕にとっては天の恵のような言葉を発した。やっぱり年下は甘やかして貰ってなんぼだよね！
どんより気分が一転、晴れ渡るような気分になった僕。
すると
「いや、その話は私にも説明させて欲しいな。ディーノくんのだけじゃあ、絶対に足りない」
ふと背後から声がかけられた。
僕を含め、ディーノさんや恭弥、ロマーリオさんまで一斉に振り返る。
気配がまるで感じられなかった！油断もほどほどにしろ僕！
ひとまず距離をとり、しっかりと相手の顔を……
………おや？
「あっはは！まるでホラー映画の化け物が現れたみたいな反応！……いや、ちょっと傷つくな…お姉ちゃん」
「……もしや、シノア……？」
「大正解！十年後から失礼するよ私の愛しい妹ちゃん！」
夕焼けの差し込む校舎に彼女の髪が揺らめいた。
そこにいたのは十年後のシノア。髪型や顔つきに多少の変化はあれど、それは確かに。
眩しいくらいの笑顔ととろけるような瞳の彼女を間違うはずもなかった。
〜〜〜〜
「いやーまだ小さいねぇ……あどけない顔も可愛いねぇ……」
先程までの雰囲気が台無しだ。
シノアは僕を抱きしめながら頬擦りをし続けて、挙句の果てには頭まで撫でていた。
その状況にディーノさんは微笑ましそうにこちらを見ているし、恭弥に至っては見向きもしてくれなかった。
「………シノア」
「んー？？」
惚けたような声色の彼女。何一つ成長して無い彼女。これは両親も変わってないと見た。
「説明しに来たなら説明しろ」
自分でも驚くくらい低い声が喉奥から捻り出された。
((ご、ごめん……))
((……はぁ))
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 372人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たかさ(*^^*)(プロフ) - とまさん» ありがとうございます！正直久しぶりの更新なので読んでくださる方がいるか不安だったのですが、コメントとても嬉しいです！頑張ります！ (2020年6月28日 18時) (
レス) id: 78054b484b (このIDを非表示/違反報告)
とま - 最新楽しみにしてます!面白いです。頑張ってください！ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 99861cccf4 (このIDを非表示/違反報告)
たかさ(*^^*)(プロフ) - アップルパイ♪さん» 申し訳ありません。台本書きにすると文字数制限の関係でかなり厳しいのです。読みにくいのは私の表現力の無さのせいなので努力したいと思います。誰が言った言葉なのかなどの質問は受け付けますのでご理解いただけますと幸いです。 (2018年4月15日 10時) (レス) id: 43dfc0e37e (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ♪(プロフ) - 少し読みにくいので台本書きで書いてもらっても大丈夫ですか？すごく面白いので更新楽しみにしています！頑張ってください！ (2018年4月15日 8時) (レス) id: 12d5eb2c7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ガーディアン@たかさ | 作成日時：2018年4月11日 17時
