第百十五話。裏 球針態 ページ4
「いくよ」
恭弥はそう言いながら指にはめたリングに炎を灯す。
三つのリングを同時に、そのような行動の理由が分からないのかただ見つめるだけしか出来ない幻騎士。
そんな彼をよそにその炎を灯したリングを無理矢理匣にねじ込む。
「匣を殺してしまわぬように炎を注入するのが難しくてね」
彼の匣がビキビキと音を立て、軋む。そしてグシャッと匣が壊れ、ついでにリングも砕けた。
その壊れた匣があった手元から光が溢れ出てくる。
そして恭弥はその形態の名前を呟く。
「裏 球針態」
匣の中身である雲ハリネズミが光を放ち、大きくなっていく。
その光にのまれていく恭弥と幻騎士、しかし幻騎士の創り出した霧の構築物や倒れていた山本くん、幻海牛ははじかれているようだ。
そして、二人だけを飲み込んだ彼の言う裏 球針態の増殖による巨大化が止まると辺りはすっかり静かになってしまった。
「………恭弥…」
私は完全に見守ることすら出来なくなった。
胸のあたりがザワザワする。彼と幻騎士の戦闘が始まってからというもの、どうにも落ち着かない。
……裏 球針態の中に消える前に恭弥は笑った。
落ち着かないのも、彼が笑ったという事もあわせて考えると。
「……きっと分かっちゃったんだろうな。今の自分じゃ勝てないって…」
そして、"死ぬ可能性がある"ということも。
「…なぁにが勝つところ見ててだよ、それって"今の自分が"勝つところじゃないんじゃんか」
どうせ独り言。ここにいるのは気を失っている山本くんとラル・ミルチだけ。
……でもまぁ、ミルフィオーレの基地にいる限りは感傷に浸ってはいられないようだ。
倉庫予定地である程度数を削ったとはいえ、まだまだ戦闘員はいるようで、静まっていた部屋に兵士が現れる。
「いたぞ！…なっなんだこれは！？」
兵士が私を発見したのちに二人が中で戦っているであろう裏 球針態を見て、驚きの声をあげる。
「……なに、ここじゃあ私も君たちも戦いづらいだろう。場所を移そうか」
気を失っている彼らを気にしながら戦うのは今の私には出来そうもない。
余裕がないのだ。出来れば、彼の死ぬ所など見たく無い。
…いや、絶対に。
見ててなどやるものか。たとえ十年前の彼が来るとしても！
死んでても死んでなくとも絶対に殴るからな！
((ごめんよぉ……虫の居所が悪いんだ…ストレス発散に付き合ってね…？))
((そ、総員、構えろ！！))
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たかさ(*^^*)(プロフ) - とまさん» ありがとうございます！正直久しぶりの更新なので読んでくださる方がいるか不安だったのですが、コメントとても嬉しいです！頑張ります！ (2020年6月28日 18時) (
レス) id: 78054b484b (このIDを非表示/違反報告)
とま - 最新楽しみにしてます!面白いです。頑張ってください！ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 99861cccf4 (このIDを非表示/違反報告)
たかさ(*^^*)(プロフ) - アップルパイ♪さん» 申し訳ありません。台本書きにすると文字数制限の関係でかなり厳しいのです。読みにくいのは私の表現力の無さのせいなので努力したいと思います。誰が言った言葉なのかなどの質問は受け付けますのでご理解いただけますと幸いです。 (2018年4月15日 10時) (レス) id: 43dfc0e37e (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ♪(プロフ) - 少し読みにくいので台本書きで書いてもらっても大丈夫ですか？すごく面白いので更新楽しみにしています！頑張ってください！ (2018年4月15日 8時) (レス) id: 12d5eb2c7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ガーディアン@たかさ | 作成日時：2018年4月11日 17時
