醜い天使【HP】 (ページ16)

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突然の出来事ではあったが、Aの両親の瞳には確かに怒りの色が表れていた。

二人が公衆の面前で怒鳴り散らす前に、

『そういうことだから。じゃあね。』

と言いながら手を振り、さっさと車内に乗り込んだ。
フレッドもジョージも当たり前の様についてきて、

「同じコンパートメントがいいな、Aは？」

と聞いたので、もちろん！とこれ以上ないくらいの笑顔で返した。
(もっとも、Aが先頭を歩いていたのでその表情は彼らには見えなかったが。)

しばらく探してやっと空のコンパートメントを見つけると、引きずる様にして持っていたトランクを乗せようとした…が、自分の腰の高さまですら上がらない。

双子はというと、その様子を((か、可愛い〜))と眺めていた。

『フレッド、あ、ジョージでもいいけど、僕もう無理…』

Aの言葉で紳士モードになったフレッドは、「貸してみ」と言ったかと思うと、あっという間にトランクを乗せてしまった。

『え、怖っ、なんでそんな軽々しくやっちゃうの…。僕が非力みたいじゃん』

「非力でしょ？」

フレッドの足を踏みつける。

「痛っ！ごめんって！」
「なんかデジャヴ〜、な？痛いだろ？」

『流石双子だね、僕のこと同じように怒らせるなんて。』

嫌味を込めていうと、

「Aの怒り方がワンパターンなんだよ」

とジョージがニヤつきながら返す。

『何何？俺も踏まれたいって？』

「違うから！いいから早く座ろうぜ、な？」

それもそうか、と大人しく座ることにした。
二人もいつの間にか荷物を乗せ終わっているみたいだった。

窓の外に目を向けると、二人に負けないくらいの赤毛の女性が困ったように当たりを見回している。

『ねぇ、あの人って二人のお母さんだったりする？』

「あぁ。あ！ヤバい！行かなくちゃ！」

フレッドが思い出したように叫んで、ジョージと共に、なんと窓から出ていった。