醜い天使【HP】 (ページ15)

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その後も両親はAの事を怒ることはせず、むしろ哀れみの目を向けてくるようになった。

時々「やっぱり聖マンゴに連れて行くべきかしら…」とか言ってるのを聞くのは決して気分のいい物ではなかったが、怒鳴られたり殴られたりするよりはマシだったので気にも留めていなかった。

一階に置いて行ってしまった梟もいつのまにか部屋の前に置かれていた。

それから入学の日まで、Aの病人扱いは続いた。

双子からただでさえ多かった心配という文字がさらに増えた返事が返ってきたが、現状を伝えると、それもなんだかなぁ、まぁ、Aが辛くないならそれに越したことはないけど。と、なんとも不思議な感じの内容で返ってきた。

それから一週間もしないうちに、Aの待ちに待った日がやってきた。

9月1日だ。

この家から離れられるという喜びで胸がいっぱいだった。

身だしなみを整えるための数々のマグル式の道具をトランクに詰める。
もはやAにとって、肌の一部と言っても過言ではないレースもできるだけたくさん詰め込む。
別に毎日スコージファイ(清めよ)すれば良いだけのことだが、たくさんあった方が安心するからだ。

キングスクロス駅までは、両親がついてきてくれた。
はたから見れば仲の良い親子に見えるのだろうか。

目を瞑りながら9と3/4番線まで行くと、別れの挨拶がわりにこう言った。

「絶対スリザリンに入るんだよ、いいね。」

「ウィーズリー家やマグル生まれとは連んではいけませんよ。」

吐き気がした。自分は親のために生きているのか？違うだろう？

黙っていると、「返事は？」と聞かれた。
絶対にうん、とか、はい、だなんて言いたくない。もう親の思い通りにさせたくない。

その時、少し離れたところからAに手を振る双子が見えた。
二人はAの方へ走ってくる。
両親もそれに気づいたようで、「どうなんだ！？」と答えを急かしてきた。

Aは意を決してもうすぐそこまで来ている双子のもとまで走り、フレッドの胸に飛び込んだ。

フレッドは驚いている様子だったが、そんなのお構いなしに、

『絶対スリザリンには入らない！それに私、自分が誰と仲良くするかくらい自分で決めたいの。言ってなかったけど、この二人は私の友達よ！』

そう言って“あっかんべー”をお見舞いした。

突然の出来事ではあったが、Aの両親の瞳には確かに怒りの色が表れていた。