再び目覚める ページ2
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気分がイイ。
身体の中を巡り満たす熱い何か。なんでもできてしまいそうな懐かしい万能感。
『 ん……』
以前私が目を覚ましたばかりの頃。李は琴真似一族が私の負担を0、尚且つ生前の姿を損なわない方法を生み出したと言っていた。
だけど生前と違う点がある。
呪力量やら身体やら例を挙げれば細かくなるけど大雑把に言うと総合的な強さ。それが半分削られていたのだ。
『 …… 』
転轍の儀。
私の力を代償に安全に半転生した私の体を愛囁天女と言われていた際の強さまで切り替える儀式。
李は私が人間のような生活を望んでいたから弱体化した今の私はちょうど良いと思ってこのことを隠してたし。
私も以前より力が無い事は不思議に思ってたけど李や美花が何も言ってなかったから気にすることはしなかった。
『 ……弱く生きる生活はぬるま湯に使ってるみたいで、やっぱり私には合わなかったみたい』
恵と李と3人暮しもいいけど李に我慢ばかりさせていられないしね。
『………………?李、どこにいるの 』
いつも私の傍にあった李の気配がしない。
『 お散歩かしら』
ふわっと無音で浮き上がれば、薄く輝く羽衣が私の腕に絡まり、半透明の長いスカートは風を受けて優しく揺れる。
随分遠いところにお散歩に行ったのね。
彼女の気配を追ってゆっくりと着いたのはお寺?御堂?みたいな建物だった。
ゆっくりと地面に足をつけることなく宙を歩く。
御堂のような広場は酷く静かで、ゆらゆらと揺れる羽衣に付いてる2つの鈴が揺れる音のみが反響していた。
『 こんにちわ、私は愛囁天女。ここに私の李がいるみたいなのだけれど……居場所を教えてくれる 』
「 おぉ!これはこれは悪名名高い美しき天女様ではないですか!……どうもこんにちは、私は夏油傑………私の猫又になにか御用かな?」
坊のような格好をしたその男が言葉を言い終わるのと同時にそいつに無言で術式反転″混″の見えない斬撃を飛ばす。
「 夏油様!!!」
斬撃は急に現れた低級の呪霊数体が盾になって男には届かず。後ろの戸から制服を着た2人の少女が飛び出して私に「吊るしてやる!!」ってスマホのカメラを向けながら叫んだ。
『………つまんない術式 』
_りん
私が浮きながら1歩を踏み出せば鈴がかわいく鳴いてそれと同時に少女達に近づいた。
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作者名:武藤で無糖 | 作成日時:2022年11月24日 19時