寂しがりやに欲しがりや【櫻井百瀬】 (ページ10)

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心配ページ10

今日俺の隣にいるのは珍しく女の子ではなくユニットのメンバーの吉條七緒だ。
彼はユニット内では最年少だがその実力は周りから完璧だと謳われる輝崎千紘も認めるほどだ。彼とはよくダーツをしたりビリヤードをしたり、今日もまぁそんな感じだ。

「…？ねぇ、ナナ。なんか女の子の声聞こえない？」
「女の子…って女の子ったって周りにめちゃくちゃいるじゃないっすか！」

それもそうなんだけど……ってナナに言ってもそりゃ分からないか。
でも微かに聞き覚えのある声がして立ち止まって耳をすませた。やめっ、とかそこら辺の反抗するような鋭い声だと分かる。

……そういえばこの道、あの子がよく使ってる道だったな。

「あっ…ごめんナナ、俺ちょっと見てくるわ」
「え…モモくん！？……あー行っちゃった…」

俺の考えが間違ってなければおそらくこの声の正体はあの子だ。

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「大丈夫！？怪我とかしてない！？」

モモくんは慌てた様子で私の元に駆けつけて私にそう聞いた。こんな動揺を露にしたモモくん、初めて見た。
さっきまで怯えていた手足はすっかり安心を取り戻しむだについた力が徐々に抜けていく。

「はい、大丈夫です。助けてくれてありがとっ…」
「ふふ、どういたしまして」
「でもなんでモモくんが……」
「約束した日以外会いに行っちゃダメ？…って冗談だよ、たまたま君の声が聞こえただけで…」
「あー！モモくんこんなとこにいたんですか！？…あれその子は…」

やや勢い混じりの声に振り向くと可愛らしい顔立ちをした男の子。制服はモモくんが着ているのとは違うが見るからに知り合いっぽいし中等部の子だろうか。明るめの山吹色の髪や大きめで丸っこい瞳には気さくそうな印象を与えられる。

彼は私を見てモモくんを見たあとあっ、とまるで察するかのような声を出した。

「………もしかして、お邪魔でした？」
「え？いやえーっといや全然そうじゃなくて……」
「ふ、ふふ……ナナ、残念だけどこの子と俺はナナが想像してる関係ではないよ？」

ね？と微笑まれながら言われ小さくはいと答える。もしかしなくとも恋人同士に間違えられたりしたのか。そうだったら自然に頬が緩んでしまうくらい嬉しい。