寂しがりやに欲しがりや【櫻井百瀬】 (ページ22)

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メイクアップページ22

廊下も教室も校内全体がザワザワと浮ついていた。朝すれ違った女子生徒数人は躊躇い無く髪がくるりと巻かれて髪にはカラフルなリボンを飾っていた。スカートの長さだって一応校則的に膝上はNGであって普段短くしてる子は勿論のこと守っていた子だってウエスト部分を一折り二折りしている。
ちなみに私はというと幼なじみの大好きなお兄さんが来てくれるっていうから普段なら守っている校則を無視して張り切ってメイクもしたしスカートだって短くした。

幸い私の仕事なんて一時間程度で終わるし存分にモモくんと楽しめる…！とそんな予定のはずだった。

「よし、でーきた！わぁぁっ、ぴったりじゃん！すっごくキレイ！」
「あの…なんで私が…？」
「Aちゃんの体型がピッタリだからに決まってるでしょ～？スカートのとこ長いと歩くの大変だから短くしようと思ったら短くしすぎちゃったみたいでさ。身長低めな子が着ないと見えちゃうのよ」

膝より少し上部にふんわりとしたシフォンが当たる。見に纏ってる真っ白なドレスはまるでウェディングドレスを着ているみたいだった。実際花嫁さんをイメージして作ったっぽいし。

「ほら、彼氏さん見たら喜んでくれるかもよ？」
「かっ…彼氏じゃっ、ないですっ！！」
「わかりやすっ！！はい、じゃあ髪セットするから大人しくしててね～」

彼女はあやすようにそう言うと私の髪を器用に纏め始める。ニヤニヤされてるのが顔を見なくてもわかる、普通に恥ずかしい。
でも確かにこんな煌びやかな格好ならモモくんからの可愛いも綺麗も頂けちゃうかもしれない…と思うと自然と顔を俯かせていた。

「なーに顔俯かせてんの？普段お化粧なんてしないよね、学校では。その人と会う時はいつもそんなふうに可愛くしてるの？」
「え、待って。あの、私がモモくんといるとこ見たことあったり…」
「そうそう、ピンクの髪したイケメンの人！Aちゃん大人しそうな顔して面食いだね～…隣に可愛くメイクしてスカート短くしてるAちゃんがいてびっくりしちゃった」

言葉も出ない。彼女は顔が隠れるくらいのヴェールを私の髪から飾って完成、と笑う。恥ずかしくなって蒸発した顔を手とヴェールを使って隠した。