12:甘い傀儡使 ページ12
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押し(推し)に負けて担がれてしまった。
ただ流石にさっきみたいな俵担ぎは目立ちすぎるし色々と問題があるのでおんぶに5000歩譲ってもらう事にした。
おかしい。元来優しい人だっていうのは分かってるし彼の事を十分理解していたつもりだけど。
「………凛くん」
「なんだ」
「ありがとう」
「っは、おせえんだよ」
普段の凛くんなら、こんな事……ましてや学校で、サッカー以外で目立つことする筈ないのに。
というかそもそも私が怪我していたとしてこうやって手を貸してくれるなんて事有り得ないと思っていた。
だから、おかしい。私の捻挫に異常な早さで気が付いたことも含めて。
「A、大丈夫だった？」
「うん、大丈夫」
「ええっと…い、糸師くんありがとう」
「別に」
殆どがグラウンドの残る試合を見ていた中、唯一体育館1階で心配そうに私を待ってくれていた5人と再会する。
彼女達と合流してすぐ私を側の椅子に座らせてしまうと、凛くんは素っ気なくグラウンドへ出て行ってしまった。
取り残された私達。彼が完全に見えなくなったかと思うと、残る5人が息を吹き返したように黄色い歓声を上げた。
「み、見た……！？ 私初めて糸師くんと喋った」
「近くで見る生糸師凛、顔整いすぎてやばい」
「ていうかおんぶされて帰ってきたの、本当にびっくりしたんだけど！」
「おんぶに関しては私もびっくりしてる」
あの後ちょっとしたパニックになって、密かに作られていた凛くんのファンクラブのメンバーがこぞって倒れたみたいだ。
あれだけ誰とも関わる事を嫌ってきた凛くんがどういう心境の変化だ。
いくら私が友達といえども、いつも一方的に凛くんにくっついているだけで凛くんからの明確な感情をこれまで受け取った事がないのに、
「＿＿宇野」
「凛くん」
「送る。帰んぞ」
「え、ちょっ待」
あの凛くんが私の教室に顔を出して、私を指名した。
異常事態だった。
体育館の比ではなくとも、当たり前に教室は静まり返る。
「凛くん、私ひとりで」
「黙って持っとけ」
乱暴な口調なのに、階段前で躊躇なく差し出されたその手は知らない人のようだった。
10段の階段を手を握って支えて、いつもの半分の速度で私に合わせて歩く。
そんな特別扱いされると。……どうしても。
頭の中に浮かんだ一つの浮ついた可能性を、凛くんに履かされたローファーに入れ込んで、そのまま踏みつぶした。
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう！ (7月21日 13時) (
レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです！夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって！これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます！原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー！！面白かったです！ (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます！大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます！ (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おそらまめ
| 作成日時：2023年3月27日 18時
