24:心の内を ページ24
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凛くんに私の情けない所を見られた。
だから運動神経悪いと、良い事なんて何もない。
見られているなんて思ってなかった。
つまずいてこけて、視線を感じたと思ったら凛くんがこっちを見ていた。
意地悪そうな顔で笑って、彼は手元に目を落とした。
きっと、「情けねえな、凡人」なんて思ってる。
本当その通りなんだけど。今になって自分のふがいなさに泣き出したい。
「Aどしたの、そんな痛かった?」
「さっきまで笑ってたじゃん!」
「……っだってえ、ダサい所、見られた…」
もういっそのこといつぞやの先輩みたく「調子乗んなブス!」くらい言ってくれればこのやり場のない悲しみを出し切れるのに。
情緒不安定な時期だ。女の子特有の、いらいら時期。そう思っとこう。
「――で、Aはもう凛くんの事諦めたの?」
「……諦めてないけど、諦めた」
「どういう事」
「好きだけど、好きじゃなくする」
「益々分からん」
自分でも何を言ってるのか分からない位だから他の人は本当に理解不能だろうな。
大きく鼻から息を吸えば、制汗剤の匂いが鼻いっぱいに入り込んできた。
「……多分、凛くんも私の事、その」
「両思いだろうね」
「……っけどこうなって初めて気づいたの。私、凛くんの隣に立てるかなって」
友達が真剣な眼差しで私と目を合わせる。
優しさに触れて声が意図せず震える。
「外見も中身も完璧で、凄くモテてる人の彼女になっても、私よりもずっと可愛くて完璧な女の人が出てきて凛くんを好きになったら、」
「そんなの中々居ないよ…」
「もしいたら?
絶対に私は選ばれない。私、立ち直れないと思う」
だって、凛くんの隣っていう最良を知ってしまったから。
隣から降ろされたら、知らなかった時よりもずっと苦しい思いをする。
それに凛くんの隣は、沢山の人の反感を買う。
現に先輩に絡まれた経験もあるし、もっと近くなればきっとあれよりもずっと酷い言葉を投げられる。
「……釣り合わないとか、私が一番分かってるよ」
「A……」
「だからね、遠くで見守る事にしたの。大好きな人には変わりないから」
言い切ってから、5人に無言で抱きしめられた。
ひしと固まった体は私達の絆を表現しているみたいだ。
「Aがそう思うなら、応援するよ」
「うちらは釣り合ってないとか思ってないけどね」
「みんなありがと…心の友……」
「当たり前じゃん」
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おそらまめ(プロフ) - 彩華さん» 彩華様、感想長らく気づかず遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。きっと二人、これからも沢山言い合いして、言葉にならない愛を育んで、お互いが明日を生きる理由がお互いになっていくんだと思っています。また機会があればどこかでお会いしましょう! (7月21日 13時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - 完結から時間経っているとはわかっているんですけど、これだけは言わせてください。めっちゃ好きです!夢主ちゃんも凛君も末長く幸せになって!これからも他の小説での交信頑張ってください。応援しています。 (7月11日 0時) (レス) @page45 id: 2b870d0ab1 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - mooさん» moo様、コメントありがとうございます!原作で摂取できない分滅茶苦茶に砂糖煮詰めております(^^)楽しんで頂けたようで何よりです。ご覧頂きありがとうございます。 (6月1日 18時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 糖分過多ー!!面白かったです! (6月1日 3時) (レス) @page45 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ルアさん» ルア様、コメントありがとうございます!大切に作ったので、そう言って頂けて作品も作者同様喜んでおります。こちらこそ、作品を応援して頂きありがとうございます! (2023年4月19日 14時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2023年3月27日 18時