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序章 ページ1
人が最初に忘れられるのは、声、次に顔、最後に思い出だと言う。
ならば、声を留めて置こう。そうしたらきっと、顔も思い出も忘れないでいられるだろうから。
「(そう、思ってたんだけどな)」
巻貝を耳に当てると波の声が聴こえるのだと、そう教えてくれた人の聲も顔も思い出せないでいる。
巻貝を耳元に当てる。
相変わらず、吹雪の日のような沈黙が続いた。
吹雪は止まなかった。もう何年も何年も。
吹雪に掻き消されて、結局聲も聴けずに行ってしまった人も多くいた。
春北風が髪を揺らす。
平らな耳元の包帯を撫でても、冷たいだけだった。
「___」
耳元を撫でていたた手が、温かい体温に包まれる。
「一緒に帰ろう?」
「__うん」
吹雪はもうじき止んだ。
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作者名:ほっぷすてっぷ | 作成日時:2024年1月5日 22時