3話 出会い ページ4
「こまちさん、遅くなりました」
学校から帰宅後、直ぐに着替えこまちさんのいる病院に向かった
「いらっしゃい、しづちゃん」
こまちさんのいる病室にはいると、いつもの優しい笑顔で出迎えてくれた
そして、いつもと違うことが1つ
「こんにちは、初めまして。
こまちさんからお話聞きました。僕は朝比奈 日向(アサヒナ ヒナタ)です。よろしくね」
太陽のように底抜けに明るい笑顔を私に向けてくる彼は多分新しくこの病室に入ってきた子だろう
こまちさんが居る病室は元は二人部屋だったが、一人が退院し、こまちさん一人になっていた。
昨日新しい人が来るといっていたし、小町さんの家族は息子さん夫婦だけで子供はいなかったから、お孫さんでもないだろう
それに、もし息子さん夫婦に子供がいたとしてもも都心に住んでいるから、なかなかこんな田舎には来れないだろう
私の住んでいる町は誰もが口を揃えるほどの田舎である。
海と山に囲まれた町は人口数百人程度の小さい町で、高齢者が半数をしめている
当然この町には学校はなく、中学は公立だというのに電車で通わなくてはいけない
私を含め子供は十人程度で、中学生は私しかいない
この町にはコンビニもスーパーもなく、大体の人は、農家さんから野菜をもらったり、漁業の人からお魚をもらったりしている。
週に一度町を出て他の日用品を買うだけで、ここでの暮らしはとても充実している
この病院は、私が住む町の隣にある町にあり、私の住む町の人達はよくお世話になっている
こまちさんもこの病院には今までに三度ほどあったらしい
「日向くんはね、しづちゃんと同い年なんだよ」
「そうなんですね。初めまして朝比奈くん
こまちさんからお話があったと思いますが、美澄 志月(ミスミ シヅキ)です。よろしく」
私の自己紹介を聞いて微笑む彼は、春の日差しのように暖かくて、まるで春の光に優しく包まれているようだった
「ふふっ、やっぱりだ」
「何がですか?」
「志月さんは、名前と同じように綺麗な人なんだね。こまちさんの言ってた通りだ」
裏表のない屈託のない笑顔でそんな聞いているだけで恥ずかしくなるような言葉を言ってしまう彼の言葉に私の心はひどく揺れていた
「えっ、あっ、あ、ありがとう…」
素直にお礼を言うと、彼はまた笑った
これが彼との出会いだった
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作者名:白うさぎ | 作成日時:2021年11月16日 22時