1話 白黒世界 ページ2
中学一年生の春
門の近くに植わっている桜は花を咲かせ、
私を見てと言わんばかりに自分の存在を主張している。
新しく中学生になって初めての登校日。
今までとは違う通学路
新しい制服
ランドセルではない新しい通学カバン。
新入生それぞれが
これから始まる生活に期待を込めているだろう。
これから始まる中学校生活で
一番最初でとても重要なクラス発表。
最初のクラスで今後の中学校生活が決まるといっても過言ではないだろう
期待のこもった瞳で掲示板を見る新入生とは正反対の何も期待せず
何の感情のこもっていない曇ったガラスのような目でクラス発表の掲示板を見る私は
自分のクラスと番号を確認して直ぐに新しい教室に向かった。
私には親がいない。
正確にはわからない。
何でも生まれて直ぐの私を、
施設の前に放置していたらしい。
だから、生まれた日なんて分からないし
名前も、苗字も。
その時に分かるのは私の性別が女だということだけだった。
だから、私の苗字と名前は施設の日とがつけてくれて
誕生日も渡しが施設に預けられた日
つまり私が捨てられた日だ。
私にとって誕生日は
良い日ではなく、その後の人生の全てが決まった日。
人生の汚点。
だから、祝われても嬉しくはない。
むしろ、「捨てられて何年目だねおめでとう」
と言われている気がしてしまう
こんな冷めて、ひねくれた考えをしている私には
友人など一人もおらず
クラス替えも
これからの中学校生活も
何もかもどうでも良かった。
むしろこれからの生活に期待などなく
ただただ早く終わりたい。
早く卒業したい。
その一心だった。
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作者名:白うさぎ | 作成日時:2021年11月16日 22時