【木舌】いつもの場所、いつもの時間、貴方と笑って手をふって ページ10
___これはまだオレが生きてた頃の話。
毎年桜の咲く季節になると、少し離れたオレの好きな人と会う約束を叶えるために、いつもの場所、いつもの時間に公園に咲く一本の桜の木のしたで自分達のこれまでの出来事を一日中話す。
話しはいつも途切れることなんてなくて、お互いに年に一回の楽しみだった。
夜になって、帰らなければならないときに必ず最後に言う言葉があって、『またこの桜の木の下で笑い会おうね』といって手をふって別れてた。
でも
あの日の君は、泣きながらそう言ったんだ。
___一年が過ぎたその日に、いつまでもいつまでも、君は来なかった。
後から知った話。
彼女はオレと会った数か月後に、病気で亡くなったみたい。
______
「ちょっとオレ、現世に行ってくるよ」
「ああ」
斬島に一言告げてから現世への道に進む。
少し歩いてみれば、一本の桜の木が満開に咲き誇っている。
いつもの場所、いつもの時間。
……それでも君はいなくて。
「こんなにこないなんて、約束覚えてんのかな?」
なんて呟いてみた。
「……覚えてるよ」
聞こえたのは、聞きなれた彼女の声であって、思わず振り替える。
「………A。なんで……」
振り替えるとそこには確かに彼女がいた。
「私もよくわかんないけど、病気で死んだと思ったらいつのまにかここにいて、そしたら今日、キノシタくんがいたの」
「お化けになっちゃったけど、ちゃんと約束覚えてるよ」と彼女は微笑む。
「キノシタくんの話、私に聞かせて?」
彼女はオレの横を通りすぎて、そう言いながら桜の木の下に座った。
「沢山あるから、覚悟してね」
その隣にオレを座り込む。
そこからは、また一日中話し込んで、気付いたら夜になってるくらい夢中になっていた。
「キノシタくん」
「なんだい?」
「また、来年もこの桜の木の下で笑い会おうね!」
「もちろん」
手をふっている彼女の腕を、オレは引っ張って_____。
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伍-フュンフ-(プロフ) - くれーぷ/紅花さん» ありがとうございます!木舌は元々企画で作られたものです。ご褒美になって良かったです(笑)個人的にも斬島の話が好きです!これからもよろしくお願いします! (2017年11月14日 19時) (携帯から) (レス) id: 0eb901e13a (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - コメ立て続けにすいません。木下ヤンデレとかご褒美ですか← 全員良かったです!これからも頑張って下さい(*´∀`)♪ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - 獄都事変好きなので読んでみたらめっさ感動してしまった…涙腺緩くなった← 佐疫君とか斬島とかもう全部良かったです。 (2017年11月13日 20時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
伍-フュンフ-(プロフ) - ねむねむさん» ほ、本当ですか!?ありがとうございます! (2017年10月20日 20時) (携帯から) (レス) id: 0eb901e13a (このIDを非表示/違反報告)
ねむねむ - いいです!凄くいい! (2017年10月19日 19時) (レス) id: 7ee805d977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伍-フュンフ- | 作成日時:2016年3月17日 0時