【田噛】ひびの入った温もりに手を伸ばした。 ページ9
追っていた亡者が現世のとある病院へ逃げ、なんともまあ面倒だったが早く帰るために鎖を使って捕まえる。
どうせ現世の人間らに俺達の姿は見えないし、気付かない。
「誰かいるの……？」
＿＿気付かないはずだ。
いつもの俺なら無視するはずだが、好奇心につられ声の発した病室に目をむける。
そこには、１人寂しくベッドの中で座っている、綺麗な女がいた。
「変わった格好ね。生きてる感じがしないわ」
「……なんで俺の姿が見えるんだ？」
「貴方はお化けのような存在ってこと？」
そう言った数秒後、何も言わない俺に対し、女は静かに笑った。
「別に誰でもいいの。看護師さん以外の人に会うのは久しぶりだわ」
「お前、家族は来ないのか」
「私はA。お前じゃないわ。家族はそうね……もういない」
「……そうか」
深入りはしなかった。
長居するわけでもなく、今が任務の途中であることを思い出してそれから俺は帰ったのだ。
しかし、またあの病室へ足を運んでしまうのだ。
「田噛さん、また来てくれたのね。ありがとう」
Aはどうやらお喋り好きなのか、俺が来ると長く話を始める。
退屈はしなかった。むしろずっと聞いていたくらいに。
「ねえ田噛さん、もう私って長くないみたい」
そう言うAは嬉しそうで、どこか寂しそうだった。
Aは死ぬことを望んでいる。
「せっかく、生きてることが楽しいと思い始めたのにね……」
次の日、Aは亡くなった。
目の前には死んだAの姿がある。
もう目を開けることはない。
心地の良い話を聞くこともできない。
「多分俺、Aが好きだったかもな」
それは絶対に叶わないことであった。
しかし、願ってしまった。
＿＿ずっと一緒にいてみたいと。
Aに触れたくて手を伸ばす。
しかし伸ばした手は呆気なく透けて、触れられなかった。
もう、君はいない。
【木舌】いつもの場所、いつもの時間、貴方と笑って手をふって→←【木舌】死んでも生き返る事こそが地獄
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伍-ﾌｭﾝﾌ-(プロフ) - くれーぷ/紅花さん» ありがとうございます！木舌は元々企画で作られたものです。ご褒美になって良かったです(笑)個人的にも斬島の話が好きです！これからもよろしくお願いします！ (2017年11月14日 19時) (携帯から) (
レス) id: 0eb901e13a (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - コメ立て続けにすいません。木下ヤンデレとかご褒美ですか← 全員良かったです！これからも頑張って下さい(*´∀`)♪ (2017年11月13日 20時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ/紅花(プロフ) - 獄都事変好きなので読んでみたらめっさ感動してしまった…涙腺緩くなった← 佐疫君とか斬島とかもう全部良かったです。 (2017年11月13日 20時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
伍-ﾌｭﾝﾌ-(プロフ) - ねむねむさん» ほ、本当ですか!?ありがとうございます！ (2017年10月20日 20時) (携帯から) (レス) id: 0eb901e13a (このIDを非表示/違反報告)
ねむねむ - いいです！凄くいい！ (2017年10月19日 19時) (レス) id: 7ee805d977 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伍-ﾌｭﾝﾌ- | 作成日時：2016年3月17日 0時
