第213話 もう一つの“マジン・ザ・ハンド” ページ14
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「しっかりしろ、吹雪！」
鬼道が吹雪に声をかけた。
「いつものアンタなら、一気にシュートしてたじゃん！」
みんなの言葉で吹雪の顔が焦りに変わるのが見えた。Aは吹雪を見つめ、眉をひそめた。
「……吹雪……」
ゲームの流れは陽花戸中へとうつった。松林がゴール前で構える。
「“レインボーループ”！！」
「“マジン・ザ・ハンド”──！！」
円堂がマジン・ザ・ハンドでしっかりとシュートをキャッチした。
「どうだ、立向居！しっかり見たか！？」
松林は後ろを振り向き、立向居に声をかけた。
「あれがマジン・ザ・ハンド…なんてパワーなんだ…この目でついに見た…！円堂さんの動き、あんな動きだったんだ！」
「いくぞ！反撃だ！」
雷門が前線へと攻め上がっていく。
「一之瀬、いけ！！」
「スパイラルショット！」
一之瀬のシュートが炸裂した。
「立向居、思い切りいけ！」
「円堂さんの動きは…こうだった！」
立向居が構えた。あれは、マジン・ザ・ハンドの構えだ。立向居の背後に、円堂と同じ魔神が見えた。しかし、その魔神はすぐに消えてしまった。
「くっ…！」
石山がフォローに回ったが、フォローしきれず、シュートはゴールネットに突き刺さった。
「見たか？あの気迫」
「ああ！面白いぜ…立向居！」
円堂が笑った。後半戦は雷門が優勢のまま試合が進んでいく中、ボールがAへと渡った。
「いけ、睦月！」
ゴール前でAがシュート体制を取ると、立向居は構えた。
「……“
Aがゴールに向けてシュートを打ち込んだ。
「よし…！“マジン・ザ”──っ」
「！」
その時、Aのシュートがコースを外れた。
構えていた立向居がぽかんとした顔をしてボールを見ている。
「まただ……また外れた……」
Aは拳を握り歯を食いしばった。
「ちょっとちょっと！雷門のストライカー、今日は二人とも不調なん？！」
リカが驚いたように言った。
ボールはフィールドの外へと転がった。Aはみんなを見た。自分がみんなの期待に添えなかったことが、この上なく情けない。罪悪感と劣等感で、押しつぶされそうになった。
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
