第204話 立向居勇気 ページ5
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戸田はあたりを見回すと、後ろの方にいた背の高いメンバーの後ろに隠れてこちらの様子を伺っていた少年を呼びかけた。
「おい立向居、何してんだ？ 円堂くんだぞ？」
立向居、と呼ばれた少年はびくっと肩を揺らした。
「『円堂さんに会えたら俺感激です』とか言ってたのに……」
「は、はいぃ！」
立向居はびしっと立つと、そのまま緊張したようにカチコチしながらこちらへと歩いてきた。
「手と足一緒に出てたッスよ」
「え、え、円堂さん！俺、陽花戸中一年、立向居勇気です！！」
「お、おう」
円堂の前に立った立向居が挨拶をすると、円堂は戸惑いつつ笑い、手を差し出した。
「よろしくな！」
「えっ、あっ握手してくれるんですか！？」
「もちろんさ！」
「え、円堂さん……っ！！」
立向居は目を輝かせると、円堂の手を力強く両手で握りしめ、上下にブンブンと振った。
「感激です！！俺もうこの手一生洗いません！！」
「いや、ご飯の前には洗ったほうがいいぞ？」
「あっ、ですよね……！」
二人がそう言って笑い出す様子を、雷門のみんなはぽかんとした顔で見つめた。
「君もサッカー好きなのか？」
「はい！大好きです！！」
「立向居はもともとMFだったんだけど、円堂くんに憧れて、キーパーに転向したんだ」
戸田がそう言うと、円堂羽目を丸くして立向居を見た。
「それ、本当なのか？」
「は、はい……」
立向居は頬を赤らめながら返事をした。
「立向居、“アレ”を見せるんじゃなかったのか？」
「なんだ？ “アレ”って」
「俺が習得したキーパー技です……でも、円堂さんに見せるのは緊張するなぁ……」
立向居は俯き、照れ臭そうに頬を赤らめた。円堂は笑った。
「見てみたいな！」
「本当ですか！？」
それからみんながグラウンドの方に集まり、立向居のキーパー技を見せてもらうことになった。
「どんな技ッスかね？」
「全国レベルに通用するか、見てもらいたいんじゃないか？」
一之瀬がゴール前に立ち、立向居に声をかけた。
「それじゃあ行くよー！」
「お願いします！」
立向居が深呼吸をして構えると、一之瀬がボールを蹴ってシュートをした。
立向居がバッと構えたとき、凄まじい圧を当たり一面に感じた。見覚えのある構えだ。これは──
「“ゴッドハンド”！」
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作者名：無名 | 作成日時：2022年10月5日 10時
