20【まさかまさか】 ページ22
「ナイスキー、A!」
「あざーっす」
ケモノ憑きだろうと何だろうと、部活に打ち込む事に変わりはない。
むしろこうやって部活に集中している方が、自分の特殊体質だとか家柄だとか、そういう事を考えずに済むから良いかもしれない。なんて考えながらボールを拾う。
「Aー」
「なんですか?」
三年の春子先輩がにやーっと笑って肩を組んで来たので、嫌な予感がして身を引こうとする。けど無理だった、先輩力強い。
「もうすぐゴールデンウィークやん」
「はい、そうですね」
「従兄弟とか遊びに来おへんの?佐久早くんとか佐久早くんとか佐久早くんとか」
「来ませんし、来ても連れてきませんよ……って言うか、私達も練習詰めてるじゃないですか」
「えー、会いたかったなぁー」
その言葉を皮切りに、皆がわらわらと集まって来たではないか。
「Aもビジュアルだけで言うたら、佐久早くんにそっくりやのになぁ」
「ウチの佐久早はちょお頼りないけどな!」
「黒子までそっくりやし、ポジションも一緒なんほんまウケるなぁ」
「ウケないでください!」
男子バレーの方で結構有名なおみくんである。
そう、先輩の言う通り私とおみくんはビジュアルだけで言えば結構似ている。お互い癖ッ毛だし、縦並び二つの黒子もあるし、でもまぁ、私の方がずいぶんとっつきやすい顔をしていると思う。実際とっつきやすいし。と、自分では言っておこう。
「ま、今年こそ「関東のサクサ」「関西のサクサ」の両方ド派手に目立ってもらわなあかんしな」
「インハイも春高も、兵庫県代表……取ったるで!」
主将の言葉に私達はおー!と手を突き上げる。今年も絶対に全国行くぞ!と気合が入る言葉に頷けば、ふ、と全く関係の無いことに思い当たった。
『佐久早の家柄はね、ケモノと相性のええ人間がたまぁに生まれて来るように出来とう』
祖母の言葉を真実だとするのならば、佐久早の家柄の人間に「ケモノ憑き」が多いということは確か。なら、もしかして、もしかして。私と同じ「ケモノ憑き」だったり……。
「……それは無いか」
よし、部活再開!と空気のよく入ったボールを一つ掴んで、上を見れば「おうい!」「やあい!」と天井の梁のところから私を見下ろす二匹のケモノがいるのであった。
【まさかまさか】
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藤浪(プロフ) - merisuさん» 初めまして!とても面白いだなんて……ありがとうございます!ぼちぼち書いていきますので、どうぞのんびり更新をお待ちください……! (2021年8月20日 20時) (レス) id: a6c7f148a0 (このIDを非表示/違反報告)
バボ - はじめまして!!一気読みしました!!いやぁ、侑君と治君めちゃくちゃかっこいいし、可愛いですね!とても面白かったです!!続き待ってます。頑張ってください! (2021年8月19日 22時) (レス) id: f5aeefa10b (このIDを非表示/違反報告)
merisu(プロフ) - はじめまして。とても面白い作品をありがとうございます!!続きを楽しみに待っています(^^)更新頑張ってください!! (2021年8月19日 19時) (レス) id: bbb64c35b8 (このIDを非表示/違反報告)
藤浪(プロフ) - mioさん» はじめまして!嬉しいお言葉、ありがとうございます。もふもふいいですよね、もふもふ……。聖臣くんを書くのもとても楽しみなので、のんびりご覧いただければ幸いです!! (2021年8月8日 6時) (レス) id: 0698c9c155 (このIDを非表示/違反報告)
mio(プロフ) - 初めまして。とても面白かったです!もふもふ触りたい……。聖臣くん登場するのも楽しみにしております (2021年8月6日 20時) (レス) id: e44c41366c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤浪 | 作成日時:2021年4月28日 22時